新たな研究開発補助金の枠組み計画発表、意見公募も実施

(英国)

ロンドン発

2023年04月14日

英国政府は4月6日、独自の研究開発(R&D)支援プログラム「パイオニア外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に関する計画を発表した(英国政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。英国はEU離脱以降、EUとの間で研究開発支援プログラム「ホライズン・ヨーロッパ」への参画に関する交渉を続けている。

今回発表したパイオニアは、ホライズンに関する交渉が英国の研究者や企業にとって好ましい合意にならなかった場合に備えたものと位置付けている。政府はEUとの交渉が成功することを望むとした一方で、企業や研究者に意見を述べる機会を提供し、長期的な確実性を与えるため、発表に至ったとしている。英国政府は現在、ホライズンで採択された英国の申請者に、英国研究・イノベーション機構(UKRI)を通じて補助金を提供しており、今回の発表では累計10億ポンド(約1,670億円、1ポンド=約167円)を提供したとしている。

パイオニアでは「人材」「イノベーション」「国際連携」「インフラ」の4つに焦点を当てるとしている。規模については、ホライズンに参画した場合の補助金額と同額の146億ポンドを2027年度末まで拠出する。具体的には、「人材」では国内外の研究者誘致に向けて、長期的なフェローシップや研究資金を提供する「パイオニア・ディスカバリー」を導入する。「イノベーション」では国内外の協力を通じて研究機関や企業、第三セクターの連携を産むことで、国内でのイノベーションを刺激する。

「国際連携」ではパートナー国との2国間、国際的な緊急課題に共通して直面する国々との複数国間、基準の設定に影響を与える、または、グローバルサプライチェーンの信頼性を向上させるなどの取り組みを含む多国間連携をより幅広く可能にする。

「インフラ」では、ホライズンで補助金の対象となっていなかったR&D関連のインフラや研究施設などへの投資を行う。

英国政府は同プログラムに対し、英国の科学・研究・技術・イノベーション関連の企業や研究機関からの意見を公募する(注)。その後それらの意見などを踏まえて詳細を発表するとしている。

(注)意見の提出方法・提出先は英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(山田恭之)

(英国)

ビジネス短信 e94c1b87137905c6