欧州産業界、EUレベルの包装・包装廃棄物の統一ルール策定を要望

(EU)

ブリュッセル発

2023年04月24日

欧州の包装材業界団体ユーロペン(EUROPEN)は4月17日、120以上の産業団体と共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表し、EUが目指す循環型経済への強い支持を示す一方で、EU単一市場の機能が失われてはならないと訴えた。具体的には、2022年11月に欧州委員会が発表した「包装材と包装廃棄物に関する規則案」(2022年12月2日記事参照、注)の法的根拠について、EU運営条約(TFEU)第114条(域内市場)とする欧州委の提案を維持するよう、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会に求めた(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

TFEU第114条は、EU加盟国間のルールや施策の調和を図り、単一市場を構築することを目的としている。しかし、ユーロペンなどは、一部の加盟国が近年、独自の包装・包装廃棄物に関連する規制を実施しており、EU域内取引の障壁となり、環境対策と経済的利益が背反した状態が生まれていると指摘。コスト効率が高く、迅速な循環型経済への移行には大規模な投資や事業展開が必要で、単一市場が正常に機能することは包装材や最終製品の自由な移動にとって肝要だと主張した。現行の包装・包装廃棄物指令をEU加盟国に直接適用できる「規則」とし、TFEU第114条を現行指令と同様に法的根拠とすることは、EUの循環型経済への移行に当たっての「歓迎すべき前進だ」とした。その上で、今後の審議で法的根拠の変更や、一部の条項について別の根拠を定める可能性に強い懸念を示すと同時に、EUレベルでルールを統一するよう、あらためて求めた。なお、ユーロペンなどは、同規則案には加盟国による独自規制の実施継続や追加措置の実施を可能とする条項があると指摘し、「規則化」されても、単一市場の歪曲(わいきょく)や、環境保護や消費者にとっての不利益、欧州産業界の競争力低下が危惧されるとしている。

また、声明では、単一市場の構築に係るTFEU第114条ではなく、EUの環境政策における立法手続きを規定するTFEU第192条を同規則案全体、または一部の条項の法的根拠とすることは、加盟国が異なる措置を実施することにつながる可能性があり、法的不確実性が生じるとして、反対する姿勢を明確に示した。

(注)ジェトロの調査レポート「EUの循環型経済政策(第2回)包装・包装廃棄物規則案を中心とする2022年政策パッケージ第2弾」(2023年3月)も参照。

(滝澤祥子)

(EU)

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