浙江省高級人民法院、「2022年度浙江省知的財産権司法保護分析報告」を発表

(中国)

上海発

2023年04月26日

中国・浙江省高級人民法院は4月18日、浙江省紹興市で「2022年度浙江省知的財産権司法保護分析報告」(以下、報告)を発表した。

報告によると、2022年の同省における各種知的財産権に関わる一審、二審、再審などの新規受理件数は2万9,463件(前年比12.06%増)、結審件数は2万9,142件(14.02%増)となった。刑事における新規受理および結審の一審では、926人に有罪判決を下し、発効となった。

案件件数からみると、民事、刑事、行政案件はすべて前年比で増加した。特に、民事一審は2019年から2021年にかけて3年連続で減少したが、2022年は増加となった。

類型では、民事案件のうち、著作権に係る案件の割合が最も大きい。件数増加率では特許権に係る案件が最も高く、前年比53.09%増となった。一方、商標権、フランチャイズ契約、技術契約に係る案件は減少した。刑事案件では、商標権に関する案件が9割以上を占めている。行政案件は商標権および特許権が8割以上となった。

特許権における民事案件の類型からみると、発明、実用新案権、意匠権に係る案件は増加傾向にあり、発明は前年比3.69%増、実用新案権は19.31%増となった。また2021年5月以降、意匠権は杭州、寧波、温州知識産権法院の管轄から、浙江省各地の中級人民法院の管轄に変更となったことで、意匠権に係る裁判件数は72.72%増と大幅に増加した。

地域分布からみると、件数が最も多い地区は杭州、温州、金華で、知的財産権民事一審の新規受理件数は杭州地区法院が全省の合計受理件数の35.49%を占めた。

渉外事案は減少し、2022年度の民事一審の新規受理件数は1,166件(前年比25.64%減)となった。件数が多い国・地域は、香港・マカオ・台湾(339件)、韓国(170件)、米国(128件)の順で、日本は25件だった。類型は商標権(59.69%)、著作権(21.87%)、特許権(15.27%)に集中している。

知的財産権に係る案件の結審率は84.16%、法定審理期間内の結審率は97.83%だった。一審の平均審理期間は79.99日で、前年比で12.98日短縮した。一審では著作権紛争案件、二審では特許権紛争案件の審理期間が最も短かった。

(許蓓莉)

(中国)

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