スペイン政府が南アの再エネ分野などに21億ユーロの投資を決定

(南アフリカ共和国、スペイン)

ヨハネスブルク発

2023年04月26日

スペイン政府は4月6日、南アフリカ共和国におけるグリーン水素や再生可能エネルギー分野に対して21億ユーロの投資を約束したとメディアが報じた。スペインの開発金融機関コフィデス(Cofides)と南ア産業開発公社(IDC)を通じて資金が提供される予定だ。

今回の投資は100%の資金が提供されるものの、そのうち30%は株式や調達のかたちでスペイン企業に提供されるという要件がある。今後、フィージビリティスタディのための助成金として1,500万ユーロが提供され、残りは融資やリスク保険などのかたちで提供される予定だ。本投資は、英国やドイツ、米国などが南アと約束した「公正なエネルギー移行投資計画(JET-IP)」(2022年10月22日記事参照)の目的に沿ったものだとしているが(注1)、現在、案件策定の過程であるため詳細は公表されていない。

スペインのレイモンド・ロブレド・ルビオ駐南ア大使は、メディアのインタビューで、本投資はスペイン政府として過去に例をみないことで、南ア用のために策定したものだとした上で、今後、同様なことを諸外国でも展開できる可能性があると述べた。

2019年にスペイン政府は「第3次アフリカ計画」を発表しており、南アをアフリカ外交における重要3カ国の1つに位置付けた(注2)。2022年10月には、スペインのペドロ・サンチェス・ペレス・カステホン首相が南アを訪問しており、その際に、IDCとコフィデスが協力協定を締結している。南ア政府の発表によると、150社を超えるスペイン企業が投資をし、2万人以上の雇用を創出するなど、スペイン企業による南アへの投資は着実に増加しており、投資の多くは再エネ分野に集中している。

(注1)JET-IPは、G7主要国が主導しているため、スペインは含まれていない。

(注2)他2カ国は、ナイジェリアとエチオピア。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国、スペイン)

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