米FDAによる食品・飲料に関するリコール公表件数が増加傾向

(米国)

シカゴ発

2023年04月24日

米国食品医薬品局(FDA)が公表する食品・飲料に関するリコール件数(4月20日時点)によると、リコール件数が年々増加傾向にあることがわかった。FDAは、規制対象となる製品のリコールについて、企業のプレスリリースやその他の公表情報から収集した情報を「リコール、市場撤去、安全性警告(Recalls, Market Withdrawals, & Safety Alerts)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとしてウェブサイト上に掲載している。また、FDAが関与したリコールについては、「執行報告(Enforcement Reports)」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとして掲載している。

「リコール、市場撤去、安全性警告」に掲載されたリコールのうち、「食品・飲料(Food & Beverages)」の年間件数を比較すると、2020年は39件だったものの、2021年は233件、2022年は221件、2023年は4月20日時点で60件となっており、増加傾向にあることが分かる。「執行報告」に掲載されたリコールについても、「食品(Food)」の年間件数でみると、2020年が430件、2021年が691件、2022年が1,404件、2023年が4月20日時点で398件となっており、こちらも増加傾向にある(注)。

また、「リコール、市場撤去、安全性警告」に掲載されたリコールのうち、「企業名(Company Name)」から日系企業に係る案件とみられるものを集計すると、2020年が0件、2021年が1件、2022年が3件、2023年が4月20日の時点で9件となっており、こちらもリコール件数全体と同様に増加傾向にある。さらに、2022年の案件を「リコールの原因(Recall Reason Description)」別に分類すると、「アレルゲン物質の表示の欠落」が101件、「サルモネラ」が39件、「リステリア」が32件、「その他」が49件となっており、未表示のアレルゲン物質を含有していたケースが最多だった。リコールに至った背景は、消費者などによる通報をもとに企業が自主的にリコールしたケース、行政機関などにより違反事実が発見されたケースなど、個別の事例ごとに多様だが、全体としては、米国内の食品に係る規制の複雑化や消費者の食品安全への意識の高まりなどがあるものとみられる。米国内で食品を販売する企業にとっては、食品に係る規制に引き続き留意していく必要がありそうだ。

(注)「リコール、市場撤去、安全性警告」では、企業のプレスリリースやその他公開情報件数に掲載されたリコール案件を情報リソースごとに掲載しているのに対し、「執行報告」では、FDAが関与したリコール案件を製品ごとに掲載していることから、数字に大きな違いが出ているとみられる。

(冨樫達也)

(米国)

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