習国家主席がマクロン大統領と会談、ハイレベル対話継続など51項目で協力

(中国、フランス)

北京発

2023年04月11日

中国の習近平国家主席は4月6日、北京市でフランスのエマニュエル・マクロン大統領と会談を行った。

習国家主席は、中仏を世界の多極化、国際関係の民主化の推進者とし、双方の主権と領土の完全性、核心的利益を尊重し、意見の対立を適切に処理しコントロールすべきだとした。また、中欧関係は第三者に向けたものではなく、第三者に従属せず第三者の制限を受けないとした。

会見後の共同声明では、国家元首による年次会合メカニズムの継続や、ハイレベルの交流・戦略的対話、経済・金融対話、人文交流メカニズムについて年内の会合実施など、51項目についての協力を発表した。

経済交流については、化粧品、農業・農産品、航空交通管理、金融(銀行、保険、資産管理)、ヘルスケア(医療用品、ワクチン)、エネルギーなどの分野について、双方が企業に対して公平かつ非差別的な競争環境を提供するとした。5G(第5世代移動通信システム)についてフランスは、両国の国家安全保障を含む法律・法規に基づいて、公平かつ非差別的な方法で中国企業の許認可申請を処理するとした。

また、中国によるエアバスからの航空機160機の購入を評価(注1)し、天津市における同社の組み立てラインプロジェクトについての協力を進めるとした。その上で、中国のY12F、フランスのH175、ファルコン8X(注2)の耐空証明プロセスを加速するとした。

その他、原子力エネルギー研究の協力や、核廃棄物再処理などでの企業の技術協力などを支援するとした。

安全保障面では、フランスは「一つの中国」政策を順守するとしたほか、核戦争防止、ウクライナの平和回復への努力、朝鮮半島問題に関する意思疎通の維持などが盛り込まれた。

両者は、4月7日にも広東省広州市で非公式会談を行い、同日の夕食会ではウクライナ問題について言及した。習国家主席は、可能な限り早期の停戦が世界の利益になるとし、政治的解決こそが唯一の正しい道だとした。また、中仏は多くの国際問題について同様の見方をしており、これは両国関係のレベルの高さと戦略性の表れと評価した。その上で、中国は両国の全面的戦略パートナーシップをさらに高いレベルに推し進めることを願うとした。

今回の会談について4月8日の環球時報は、マクロン大統領が「中国はウクライナ危機の製造者ではない」と評したとして、米国による妨害を受ける中でも中欧の政府は同じ認識を有していると強調した。

(注1)今回の訪中には60人以上のビジネス代表団が随行しており(「環球時報」4月6日)、エアバスと中国航空機材集団の160機、約200億ドルの購入契約や、化粧品大手ロレアルとアリババとの戦略的協力、海運グループのCMACGMと中遠集団、上港集団のバイオ燃料の開発協力などが合意されたと報じられている(「極目新聞」4月8日)。

(注2)Y12Fは中国の航空工業ハルビン航空機工業集団のターボプロップ輸送機、H175はエアバスのヘリコプター、ファルコン8Xはダッソーグループのジェット機。

(河野円洋)

(中国、フランス)

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