米シカゴ市長選、リベラル派民主党のジョンソン氏が逆転勝利

(米国)

シカゴ発

2023年04月06日

米国イリノイ州シカゴ市で4月4日、市長選挙の決選投票が行われ、民主党のブランドン・ジョンソン氏が51.4%の過半数を獲得し、同じく民主党のポール・バラス氏を抑えて、勝利を確実にした。2月28日に行われた市長選では、どの候補も得票率が過半に達しなかったため、今回の決選投票が実施された。2期目を目指していた現職のローリ・ライトフット市長(民主党)は、2月の市長選で落選していた。

今回大きな争点となったのは、シカゴ市の治安と教育だった。バラス氏は、元シカゴ公立学校CEOで、公共の安全に焦点を当て、銃撃や銃を使用した犯罪が後を絶たない市内の治安改善のため、警察の取り締まりを強化するとし、当初多くの支持を得て、2月の選挙では32.9%の得票率でトップとなった。一方のジョンソン氏は、現職のクック郡コミッショナー(注1)で、選挙戦当初から警察の予算の削減を支持していたことへの批判を受けており、最終的に「シカゴ警察の予算を削減しない」と明らかにせざるを得なくなった経緯がある。同氏は、取り締まりよりも、貧困や犯罪の根本となる原因に対処するために資金を投入すべきだと主張していた。最終的には、シカゴ教員組合のほか、民主党の中でもリベラル派であるエリザベス・ウォレン上院議員(民主党、マサチューセッツ州)やバーニー・サンダース上院議員(無所属、バーモント州)などの支持を受けたジョンソン氏が、民主党の中でも保守寄りだったバラス氏を抑え、勝利を確実にした。

なお、落選したライトフット市長は、初の黒人女性かつ初の同性愛者を公言する候補として2019年に大きな期待を受けて当選したが、任期中のパンデミック中の犯罪の増加(注2)や、市議との政治的な対立や市民コミュニティーとのあつれきによって支持が低迷した。

(注1)郡の政策立案や行政全般を管理する役職。

(注2)シカゴ市の2019年の殺人事件は496件、2020年は772件、2021年は800件と増加が続き、強盗や車上狙いなど銃による犯罪も増加した。

(星野香織)

(米国)

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