米シカゴで植物由来代替シーフードのスタートアップが550万ドル調達

(米国)

シカゴ発

2023年04月13日

植物由来の代替シーフードを開発する米国イリノイ州シカゴ市のスタートアップのアクア・カルチャード・フーズは4月6日、レストランなどに同社商品を投入するためのシード資金として550万ドルを調達したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社によると、原料は企業秘密としつつも、「一般的に入手可能で手頃な価格の未加工の有機物に、栄養豊富な溶液を加えて微生物を加え育てたものに、真菌類を加えて変化させることで、従来のシーフードに近い食感と味わいを持つタンパク質が完成する」と紹介している。同社は既にマグロ、白身魚、イカ、エビ、ホタテの生食に適した代替品を開発しており、これらは本物のシーフードと同様に調理できるという。

今回の資金調達ラウンドでは、代替タンパク質ビジネスへの投資を専門とするベンチャーキャピタルのストレイ・ドッグ・キャピタル(本社:カンザス州)が先導した。同社のジョニー・リーム最高経営責任者(CEO)は「アクア・カルチャード・フーズによる代替シーフードに関する取り組みは、1,000億ドル以上にもなる巨大な世界市場で、人類と地球の両方に利益をもたらす計り知れない可能性を秘めている」と述べている(「クレインズ・シカゴ・ビジネス」電子版4月7日)。

植物由来の代替シーフードの市場規模は、牛や豚、鶏肉などを模した代替肉の市場規模と比べると、まだ小さいが成長が見込まれる分野だ。代替食品を推進する非営利団体グッド・フード・インスティテュートによると、米国の小売部門における代替肉市場の成長は鈍化傾向であるにもかかわらず、2022年の市場規模は14億ドルだった。一方、同年の米国小売部門での代替シーフード市場はわずか1,400万ドルの規模だったが、2019年からの年平均成長率は22%となっている。

代替シーフード市場は、水産資源の枯渇や生態系へのダメージ、化学物質による水産物の汚染の影響によって、需要が高まるという見方もあり、世界で2021年に4,210万ドル規模だった市場は、2031年には13億ドルに達するとの予測もある。

(星野香織)

(米国)

ビジネス短信 9e5ed8ff3edb806e