ADB、バングラデシュの2022/2023年度の経済成長率を5.3%と予測

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年04月10日

アジア開発銀行(ADB)は4月6日、バングラデシュの2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)の実質GDP成長率は5.3%とするPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)予測を発表した。2021/2022年度の7.1%から、成長率が低下している。

2021/2022年度の成長率(7.1%)の背景として、輸出が前年度比33.4%増と堅調に成長したことに加え、民間投資の拡大、大規模インフラ開発をはじめとした政府投資の増大がある。一方で、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰により、輸入額が35.9%増加し、為替レートが対ドルで9.2%のタカ安となった影響もあったため、インフレ率が8.7%(前年度6.2%)に上昇し、民間消費が冷え込んだ。

一方、2022/2023年度については、引き続き世界経済の不安定さを背景とし、高いインフレ率が残り民間消費が停滞、政府の緊縮財政による政府消費の縮小を反映し、5.3%の成長率を予想する。調査対象のアジア大洋州地域46カ国・地域の平均の成長率は4.8%で、南アジアの中ではバングラデシュはモルディブ(7.1%)、インド(6.4%)に次ぐ高い成長率見通しとなった。

今後としては、郷里送金を背景とした民間消費への期待、国内市場に対する民間投資、ダッカメトロなどの優先プロジェクトを中心とした政府投資の実施などを反映し、2023/2024年度の経済成長率は6.5%と予測している。

さらに、同調査では、バングラデシュの政策課題として、次世代のためのより良い教育の提供を指摘している。バングラデシュは2026年に後発開発途上国(LDC)を卒業するに当たり、低賃金労働力の優位性が低下する可能性があり、高付加価値化やデジタル技術などを導入し、人的資本を向上される必要があると述べている。あわせて、教育の質向上やスキル育成の必要性も提言されており、高等教育の質の向上や低コストの学生ローンの必要性についても言及されている。

(安藤裕二)

(バングラデシュ)

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