2022年のMENA地域EC市場は370億ドル、成長予測1位はアルジェリア
(中東、アフリカ)
中東アフリカ課
2023年04月03日
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイに位置するフリーゾーン「ドバイサウス」内のEコマースゾーン「EZドバイ」は3月28日、「MENA(中東・北アフリカ)地域のEコマースセクター(第3版)」を発表した。本レポートによると、2022年のMENA地域におけるEコマース(EC、電子商取引)市場は370億ドルで、2018年からの年平均成長率(CAGR)は32%。また、2026年には570億ドルまで拡大すると予測されている。
2022年の国別のEC市場をみると、イスラエルが最大で143億ドル、次いでサウジアラビアが66億ドル、UAEが59億ドルで、これら上位3カ国がMENA地域市場全体の72.4%を占める。要因として、イスラエルはMENA地域において1人当たり所得が最も高く、モバイル端末契約数が堅調に推移していることや、サウジアラビアが国家戦略「ビジョン2030」でキャッシュレス決済を推進していることなどが挙げられている。また、2022年から2026年までの予測CAGRが最も高いのはアルジェリアで25%、次いでオマーン(16%)、チュニジア、ヨルダン(いずれも13%)だ。
産業別では、2022年の最大市場が家電(50億1,400万ドル)、次いでアパレル・履物(35億4,900万ドル)、消費財(12億4,300万ドル)となった。2022年から2026年までの予測CAGRは、1位が食品・飲料(15%)、2位が家電(10%)、3位が美容・パーソナルケア用品(11%)だ。本レポートによると、MENA地域の消費者は利便性を重視する傾向があり、カリームクイック(Careem Quick)やヌーングローサリー(noon Grocery)といった食料品ECがクイックデリバリーサービスを提供している。
MENA地域のEC市場の成長要因について、フィンテック企業による技術投資の増加や、多様なデジタル決済の浸透、インターネット利用率の増加などが挙げられている。また複数の国が、デジタル戦略を通してEC関連技術の開発を後押ししている。カタールがビッグデータ解析を通じたAI(人工知能)パーソナライゼーションや、クラウドコンピューティング技術などの開発に注力しているほか、エジプトでは「デジタル・エジプト・ストラテジー」を通じて、研究開発強化のため21万5,000人の雇用創出を目標としている。
(久保田夏帆)
(中東、アフリカ)
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