最高裁、2023年の最低賃金にかかる労相規定への司法審査請求を棄却

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年04月06日

インドネシア最高裁は2023年3月29日、2023年の最低賃金の計算式を規定した労相規定(2022年第18号)を不服として経営者協会などが要求した司法審査請求について、訴えを却下した。上位規定である雇用創出法(2020年第11号、通称オムニバス法)関連の違憲審査が続いており、かつ雇用創出法が条件付きで当面は有効との見解が示されていることから、司法審査を行うのに適切な時期ではないとした(「コンタン」3月29日)。

インドネシアの2023年の最低賃金については、当初は雇用創出法の細則である政令(2021年第36号)の算定式で決定されるはずだったが、2022年11月にイダ・ファウジア労働相は急きょ、同年11月16日に交付・施行した「2023年の最低賃金に関する労相規定」(2022年第18号)を通じて計算式を変更した経緯がある。

これに対し、インドネシア経営者協会(Apindo)など10団体が11月28日、労相規定(2022年第18号)は「上位規定である雇用創出法(2020年11号)とその細則である政令(2021年第36号)に違反している」と主張するとともに、政令(2021年第36号)は労相に対する最低賃金の決定権を認めていないとし、最高裁判所に不服申し立てを行っていた(2022年12月1日記事参照)。

なお、雇用創出法は2022年末の緊急政令(2022年第2号)において内容が改定された。同緊急政令は2023年3月21日のインドネシア国会本会議で賛成多数で承認されたが、野党は、国会が憲法22条2項で緊急政令の承認期限とされている「直後の会議」(2023年1月10日~2月16日)に承認を行わず、3月14日から始まった新会期に先送りしたことを理由に、憲法違反だとして批判を行っている(「コインユナイテッド」3月21日)。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

ビジネス短信 6f17313cf2c47bb6