世界最大級の衛生・冷暖房設備見本市ISHが4年ぶりにリアル開催

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2023年04月19日

ドイツ中部のヘッセン州フランクフルトで31317日、キッチンやバスルームなどの衛生設備や冷暖房・空調設備の国際見本市「ISH外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますInternational Sanitary and Heating)」がリアルとオンラインのハイブリッド形式で開催された。水回り設備や製品、冷暖房設備関連商品やサービスなどの分野では世界最大規模の見本市で、会場では関連する技術や商品が幅広く展示された。隔年開催の同見本市は、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大の影響で2021年はオンラインのみだったため、リアルでの開催は4年ぶりとなった。

主催者の発表によると、54カ国から2,025社が出展し、154カ国から154,000人近くが来場した。ドイツ国外からの来場者は44%を占めた。会場は多くの人でにぎわっていたが、新型コロナ感染拡大前の2019年の実績(出展社数:57カ国2,532社、来場者数:161カ国19万人)からは減少した。

現行の気候保護法により、建築業界も温室効果ガス(GHG)削減が求められている中(2021年7月6日記事参照)、今回の主要テーマは、脱炭素化、再生可能エネルギーの使用やエネルギー効率向上だった。エネルギー転換に関しては、ヒートポンプ、エネルギー源としての木材が特に注目された。また、衛生・冷暖房・空調設備業界における技術者不足や、少子高齢化を背景とした高齢者や要介護者に適した浴室の必要性など、人口動態の変化に伴うニーズの変化も関心を集めた。さらに、新型コロナ感染拡大を機に、革新的な換気システムやタッチレス水栓の重要性も高まった。

写真 ドイツ大手衛生設備メーカーのブースの様子(ジェトロ撮影)

ドイツ大手衛生設備メーカーのブースの様子(ジェトロ撮影)

日本企業としては、大手衛生機器メーカーTOTOをはじめ関連する製品、技術を持つ企業が出展した。食品工場や化学工場配管用のステンレス製継手を製造・販売するオーエヌ工業(岡山県)は、ISH2度目の出展をした。同社の継手「O.N. Fitting」は、ステンレス製のため樹脂製製品よりもリサイクルが容易かつライフサイクルコストが抑えられるほか、取り付けも簡単に行うことが可能、さらには施工後の配管のレイアウト変更も溶接などの工法と比較して容易だという。同社の海外営業担当の久保田晃司氏は、ISHについて「多くの国から新しい技術や製品を探している人が来場し商談も行えるほか、欧州市場にとって新しい技術・製品となる当社製品の認知度向上のためには非常に良い機会だ」とコメントした。

写真 オーエヌ工業のブースの様子(ジェトロ撮影)

オーエヌ工業のブースの様子(ジェトロ撮影)

次回のISHは2025年3月17~21日にフランクフルトで開催の予定。

(アルマ・ピットナー、ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(ドイツ)

ビジネス短信 6b3971f170643490