中銀の2月経済金融報告、民間消費と観光客数が堅調

(タイ)

バンコク発

2023年04月10日

タイ中央銀行(BOT)は3月31日、2月の月例経済金融報告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。タイ経済は工業生産と民間投資が前月比で上向き、財輸出額も前月比で増加した。民間消費も改善し、特に耐久財で改善した。外国人旅行者数も堅調で、サービス業が上向いた。

工業生産指数は前年同月比2.7%減だったものの、前月比(注)は1.5%増だった。中国からの需要増だけでなく、国内需要の高まりも受けて、化学製品の生産が増加した。また、経済活動の活発化とともに石油製品も改善した。ハードディスクドライブも前月比で増加、気候条件に恵まれて砂糖の生産が増加したため、食料・飲料製品の生産も拡大した。一方で、自動車生産は前月までの生産拡大の影響もあって前月比で減少、特にピックアップトラックの減少が目立った。

需要面については、民間消費指数が前年同月比3.9%増、前月比0.4%増だった。耐久財消費、とりわけ受注残となっていた電気自動車(EV)の納車が続いたことによる乗用車の増加が要因だ。民間投資指数は前年同月比0.6%増、前月比は2.0%増、機械設備投資が前年同月比、前月比ともに増加した。輸出額は前月比で2.8%増加したものの、前年同月比では4.1%減となった。

2月の外国人観光客数は211万3,600人と、前月より約1.5%減少したが、季節調整済み外国人観光客数では約1.1%増加した。中国からタイへの団体旅行が可能になり、インドでタイから帰国する際に必要とされていたPCR検査が不要となったことで、両国からの観光客数が増加したことが要因。

なお、タイ旅行業協会(ATTA)は、タイと中国を結ぶ航空路線数が回復していることから、2023年第2四半期(4~6月)にタイを訪れる中国人旅行者が100万人になると予測。また、タイ政府観光庁(TAT)はこのほど、2023年の中国人旅行者数予測を500万人から600万~700万人に上方修正している(「バンコク・ポスト」紙4月1日)。

(注)前月比は季節調整済みの数値。

(藤田豊)

(タイ)

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