日本酸素HD関連会社、グリーン水素製造に参画

(ベルギー、日本)

ブリュッセル発

2023年04月13日

日本酸素ホールディングスのグループ会社Nippon Gases Belgiumは4月5日、フランス電力(EDF)のベルギー子会社ルミナス、ベルギーの建設・エンジニアリング大手3社のジョイントベンチャーであるテラノバ(注1)と共同で、グリーン水素(注2)製造の事業会社テラノバ・ハイドロジェンを設立したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ベルギー北部ゼルザーテでグリーン水素製造設備の設置と運営を行う。

設置する水電解装置の容量は2.5メガワット(MW)で、水素の圧縮、貯蔵と充填(じゅうてん)のための設備を併設し、稼働は2025年初めを見込んでいる。使用する電力は近郊のゾンネベルク・ソーラーパークで発電される太陽光由来のものを使用する。同ソーラーパークは22ヘクタールの敷地に5万枚を超えるソーラーパネルを設置しており、今後は風力発電施設の設置も予定している。テラノバ・ハイドロジェンは、電解装置の容量を将来的に5MWまで引き上げる意向だ。同プロジェクトに対しては、フランダース政府(注3)が定める水素戦略の一環として、433万ユーロの資金援助を行うことを2022年末に同政府が決定しており、既に許認可を交付し、準備工事が開始されている。

ベルギーでは、連邦政府が2022年に新たな水素戦略を策定(2022年10月26日記事参照)、3月には第1弾となる助成案件の発表を行った(2023年3月30日記事参照)。連邦政府はグリーン水素について、製造にとどまらず、周辺国への輸送拠点としてベルギーを位置付けることを目指している。ゼルザーテは高速道路を介してアントワープやブルージュといった国内の産業拠点や、オランダやフランスへのアクセスが容易だ。また、主要港の1つで、域内の水素ハブを目指すノース・シー・ポートとも運河を介して接続していることから、製造されたグリーン水素の利活用が期待される。

(注1)ゼルザーテの旧工業用地の土壌汚染処理のため、デメ(海洋土木・建設)、ヤン・デ・ヌル(海洋土木・環境エンジニアリング)、アールセン(建設、ロジスティクス)の3社が設立した事業会社。

(注2)再生可能エネルギーを利用して水を電気分解することで製造し、製造工程で二酸化炭素(CO2)を発生させないもの。

(注3)ベルギーは連邦制で、経済・産業政策は地域政府が管轄している。

(山田泰慎)

(ベルギー、日本)

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