石油・ガス世界大手OGCI、ノースパワーへの出資拡大、船舶向け風力推進補助装置の導入加速へ

(米国、フィンランド)

ヒューストン発

2023年04月05日

世界的な石油・ガス開発企業12社で構成する「石油・ガス気候変動イニシアチブ」(OGCI、注1)は3月28日、船舶向け風力推進補助装置「ローターセイル」の開発を手掛けるフィンランドのノースパワー(本社:ヘルシンキ)への追加出資を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。OGCIは同社に対して、2019年に初めて出資し、2022年にも追加出資している。

国際海事機関(IMO)では、2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量を2008年比で半減させるという目標を掲げている。これを達成するために、国際海運業界ではさまざまなソリューションや技術が研究されている。OGCIによると、現在就航している約3万隻の船舶にローターセイルを搭載可能だ。ローターセイルは、風の力を利用して船舶の平均燃料使用量を25%削減し、船舶のGHG強度(注2)を低減することが可能という。

OGCIの法務責任者のイアン・ファーガソン氏は「ノースパワーが革新的な技術によって、国際海運会社にとって有意義な燃料・GHG排出量の削減を実現させていることから、より多くのローターセイルの実装を促進し、国際海運の脱炭素化に向けた投資を促進することが急務となっている」と述べた。

OGCIは国際海運の脱炭素化の取り組みを進めており、2023年2月にバイオ燃料が国際海運の脱炭素化に貢献可能との調査結果を発表している(2023年2月3日記事参照)。

(注1)Oil and Gas Climate Initiative。パリ協定を明示的にサポートし、気候変動への業界対応を加速させることを目的として、2016年に設立され、10億ドル以上のファンドを有している。構成メンバーは、アラムコ、シェブロン、エクイノール、エクソンモービル、ペトロブラス、シェル、トタルエナジーズなど12社。

(注2)エネルギー消費当たりのGHG排出量。

(沖本憲司)

(米国、フィンランド)

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