山東省、カーボンフットプリントによる産業の低炭素化を目指す

(中国)

青島発

2023年04月24日

中国の山東省政府は2月28日に、「山東省製品カーボンフットプリント評価業務プラン(2023-2025年)」を公表した。山東省内の主要工業製品でのカーボンフットプリント(注)評価業務を実施し、製品のグリーン・低炭素水準向上などを図る。

同プランは山東省のエネルギー構造、産業構造、運輸構造の状況に合わせたものとなっている。具体的には、「両高」産業(高エネルギー消費、高汚染物質排出)の主要工業製品のカーボンフットプリント評価業務を先行的に試行し、それを段階的に全産業に普及させることで、山東省製品の炭素排出を減らし、主要製品の輸出を推進し、関連産業の国際市場での競争力向上を目指す取り組みとなる。また、業界紙「中国能源報」の3月20日付の記事によると、EUのバッテリー規則など製品に対してカーボンフットプリント情報の提示が要求される関連法令の実施に伴い、多国籍企業もサプライヤー企業に対しカーボンフットプリント証明の提示を義務付けるようになってきている。その中で、国内でカーボンフットプリント評価システムの構築が進まないと、中国の関連製品の輸出は大きく制約されることになるという。

同プランでは、2023年までに基本的なカーボンフットプリント評価システムを構築し、鉄鋼、電解アルミニウム、セメント、肥料、プラスチック産業の主要企業100社に製品のカーボンフットプリント評価を完了させるとした。また、2024年までに制度構築を進め、有機化学物質、ゴムタイヤ、カセイソーダなどの分野における200社の主要企業の評価を完了するとした。2025年までに300社の主要企業の製品カーボンフットプリント評価を完了させ、基本的なカーボンフットプリントマーク認定制度を整備し、多国間でのカーボンフットプリントマークの相互承認も実現するといった目標を掲げた。

それに向けて、同プランでは、主要工業製品での試行、評価標準システムの構築、関連サービスの活用と広報の3つの側面で、主要課題などを示している。うち評価標準システムの構築については、山東省は同省の産業発展の実際状況に合わせて、カーボンフットプリントの評価範囲と評価方法を明確にし、同省の状況に沿ったシステムを徐々に構築し、同省での製品カーボンフットプリント評価に向けて基礎データや技術サポートを提供するとしている。また、活用と広報については、低炭素製品のグリーン消費に向けたプラットフォームを設立する。カーボンフットプリント評価を実施した企業は同プラットフォームで製品の炭素排出量を開示し、消費者に低炭素製品の使用を選択するよう促すとした。

(注)カーボンフットプリントとは、商品の原材料から製造、調達、販売、使用、廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガス(GHG)の排出量を二酸化炭素(CO2)に換算したもの。

(董玥涵)

(中国)

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