アフリカの航空輸送量、新型コロナ禍前の水準にほぼ回復
(アフリカ)
中東アフリカ課
2023年04月13日
国際航空運送協会(IATA)は4月3日、メディア向けブリーフィングで、アフリカの航空業界の現状と今後の見通しについて見解を述べた。IATAによると、2月時点のアフリカの航空旅客輸送量(注1)は2019年同月の93%となり、新型コロナウイルスの世界的流行前の水準にまでほぼ回復したとしている。また、2月の貨物輸送量(注2)は2019年同月の水準を31.4%上回る結果で、特にアジア~アフリカ航路の需要の伸びが著しいという。アフリカの航空会社は他地域の航空会社に後れを取ってはいるものの、新型コロナウイルスの世界的流行による影響から確実に回復しているとの見解を示している。
IATAは同ブリーフィングで「フォーカス・アフリカ」イニシアチブの発足を発表した。航空業界のアフリカ経済・社会の発展への貢献強化を目的に、民間と公共部門のステークホルダーが専門知識や研究成果などを提供し合い、協力してアフリカの航空ネットワーク・安全性・信頼性などを向上させ、空路によりアフリカ域内の市場の活発化を図るとしている。IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は「2022年時点でアフリカは世界の人口の約18%を占めているにもかかわらず、アフリカの航空旅客輸送量と貨物輸送量の合計は全体の2.1%にすぎない」と述べた。また、アフリカ域外への航路の利用者が8割を占め、域内の航路の利用者は2割程度にとどまっている現状にも言及し、今後のアフリカの航空業界の発展に期待を示した。
2035年までにアフリカの航空輸送旅客数は倍増し、2億6,000万人を超えると予測されている。アフリカでは新型コロナウイルスの世界的流行以前も、航空業界は770万人の雇用を創出し、630億ドルの経済活動を支えてきたが、IATAは今後20年間で、需要が3倍になるとの見解を示している。
(注1)有償旅客キロ(RPK:Revenue Passenger Kilometers)ベース。RPKは、各有償旅客が搭乗し、飛行した距離の合計で、有償旅客数×輸送距離(キロ)で計算される。
(注2)貨物トンキロ(CTK:Cargo Tonne Kilometers)ベース。実際の貨物輸送量を表す単位で、貨物の重量(トン)×輸送距離(キロ)で計算される。
(平岡優)
(アフリカ)
ビジネス短信 3b6f097f5f39db91