米労働者を成長させられる魅力的な企業ランキング、アマゾンが3年連続首位、リンクトイン調査

(米国)

ニューヨーク発

2023年04月24日

ビジネス向けの交流サイトのリンクトインは4月19日、労働者を成長させられる魅力的な企業を順位付けした「米国で従業員がキャリアを伸ばすために最適な企業トップ50社(2023年)」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同調査は今回が7回目で、これまで2016年から毎年実施されている(2020年を除く)。調査対象は、米国内に500人以上の従業員(2022年12月31日時点)が所属する企業で、そのうち2022年1月1日から調査発表までに計10%超の従業員を解雇(レイオフ)すると発表した企業は対象外としている。同社のランキングでは、リンクトイン会員のデータを用いて、企業内での社員の昇進などを示す「昇進の可能性」、従業員が在職中にどのようなスキルを身に付けているかを測る「スキルの獲得」、過去1年間の従業員の離職率や企業に3年以上とどまる従業員の割合を示す「企業の安定度」、企業とその子会社での男女の平等性を測る「ジェンダーの多様性」など、8つの項目の評価に基づいて分析し、これらを統合して総合順位が決められる。

今回のランキングでは、米国の電子商取引最大手アマゾンが最も魅力的な勤務先としてトップに選ばれ、3年連続で首位に立った。2位はウェルズ・ファーゴ、3位はJPモルガン・チェースで、ともに前年の調査から順位を上げた(添付資料表参照)。

調査結果について、リンクトインの編集長兼バイスプレジデントのダン・ロス氏は「多くの求職者にとって、柔軟性は依然として最重要課題だが、スキルアップの重要性を過小評価してはいけない」と述べており、アマゾンが従業員のスキルアップを支援し、給与を引き上げるために多額の投資を行ったことにより、首位を維持したと指摘した。アマゾンは2022年9月、従業員向けの新たなキャリア開発プログラムを立ち上げるとともに、米国の物流施設などで働く従業員に対し、今後1年間で約10億ドルを投資すると発表するなど、従業員の人材開発や教育に焦点を当てた投資を行っている。また、最も競争力があり求職者から求められる企業は、ハイブリッドな働き方を採用する企業や、不妊治療などのニッチな医療給付を支給する、あるいはサステナビリティーや職場の多様性と包摂性を促進する社会貢献活動などに取り組む企業だとされている(CNBC4月19日)。

アマゾンは今回の調査で評価された一方、同社の倉庫従業員については過酷な職場環境や待遇の低さについて批判を浴びている。米労働安全衛生局(OSHA)は2023年2月、ニューヨーク州、コロラド州、アイダホ州の3カ所のアマゾンの物流倉庫で、労働者の安全確保を怠ったとして違反処分を行った。米国労組連合(SOC)によると、2022年には、同社の倉庫で働く労働者の負傷率が他社平均の2倍以上で、労働者や関係当局は同社の労働環境の改善に向けた対応策を求めているとしている(CNBC4月15日)。

(樫葉さくら)

(米国)

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