香港証券取引所、ESG関連情報の開示義務を強化

(香港)

香港発

2023年04月21日

香港証券取引所(HKEX)は4月14日、ESG(環境・社会・ガバナンス)の枠組みで、気候変動関連情報の開示強化に向けたコンサルテーションペーパーPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(意見募集内容が記載された資料)を公表した(今回公表された気候変動関連の上場規則改正原案の概要は添付資料参照)。

HKEXは全上場企業に対して、企業が公表するESGレポートに気候変動関連の情報開示を義務付け、国際サステナビリティー基準審議会(ISSB)の気候変動基準に沿った新たな気候変動関連情報の開示を導入することを提案した。今回のコンサルテーションペーパーに対するパブリックコメントは4月14日から3カ月間実施し、2024年1月1日付で改正上場規則が発効する予定だ。

情報開示強化の背景には、政策目標と投資家による情報の開示要求の高まりがある。具体的には、香港特別行政区政府は2050年までにカーボンニュートラル実現を目指しており、また、香港のサステナブルファイナンス推進のための合同委員会は(注)、2025年までに金融機関に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に沿った情報開示が義務付けられると表明している。加えて、香港における2021年の環境債の発行額とサステナブル融資額は2020年の4倍に達しており、グリーン投資への需要が増加している。それに伴い、投資家はより質の高い情報開示を求めている。

HKEXの上場責任者のキャサリン・ン氏は、改正案は企業の強靭(きょうじん)化や持続可能な経営を加速し、信頼できる魅力的な資金調達の場としての香港の地位をさらに強化するだろうと述べた。

(注)2020年5月に設立され、香港金融管理局(HKMA)と香港証券先物委員会(SFC)が共同議長を務める。HKMA、SFC、環境・生態局、財経事務及庫務局、HKEX、保険業監管局、強制性公積立計画管理局で構成し、気候変動ファイナンス戦略を策定する。

(松浦広子)

(香港)

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