技術役務提供・ロイヤルティーの基本源泉税率が20%に

(インド)

ニューデリー発

2023年04月24日

インド財務省は4月1日以降、インド企業が外国企業(非居住者)に対して技術役務提供の対価やロイヤルティーを支払う際の基本源泉税率を、従来の10%から20%に引き上げた。基本源泉税率に加算されるサーチャージ(5%)および教育目的税(4%)を加味すると、実効税率は従来の10.92%から21.84%となった。当該改正内容は、2月1日に発表された2023年度(2023年4月~2024年3月)国家予算法案(2023年2月14日記事参照)には当初含まれていなかったものの、3月24日に下院で可決された同修正法案に盛り込まれ、3月31日の大統領による承認をもって成立したものだ。

他方、インドが二重課税や脱税の防止のための租税条約を結んでいる国の企業との取引においては、求められる要件や手続きを満たせば、租税条約で定めのある税率の適用を受けることも引き続き可能だ。日本はインドとの租税条約締結国の1つで、技術役務提供の対価やロイヤルティーを支払う際の源泉税率は10%を超えないと定められている。日系企業が新たにこの適用を受けようとする場合、以下の手続きが必要となる。

  • 日本における納税証明書の取得
  • Form No. 10Fの提出(注1)
  • インドにおける納税者番号(Permanent Account Number:PAN)の取得(注2)
  • インドにおける確定申告

インド国内産業・税務関連コンサルティング会社ネクスダイムのモーリック・ドシ副部長によると(ヒアリング日:4月17日)、従来は租税条約上の税率が一般的な実行税率と大差がなかったことから、適用ニーズは比較的低かった。しかし今回の改正により、今後は租税条約に則した手続きを検討する日系企業が増えることが見込まれるという。

(注1)Form 10Fは、申請企業に関する詳細な情報を入力する様式。原則としてオンラインポータルサイトから提出することが求められるが、PANを持っていない外国企業(非居住者)は、暫定的に2023年9月30日まで紙での提出が認められている。

(注2)PAN取得に必要な期間の目安は4~6週間(提出書類準備と申請手続きに各2~3週間)。

(広木拓)

(インド)

ビジネス短信 25d6bebff8402ee1