米主要港の2月の小売業者向け輸入コンテナ量、前月比14.4%減、2020年5月以来の低水準に

(米国)

ニューヨーク発

2023年04月13日

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社ハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(4月7日)によると、2023年2月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比14.4%減の155万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)となり、新型コロナウイルス禍によるアジアでの工場閉鎖や米国で大半の店舗が閉鎖された2020年5月以来の低水準となった。NRFによると、国内の主要港の輸入貨物量は2023年夏にかけて徐々に増加するとみられるが、新型コロナ禍における記録的な水準には及ばないと見込んでいる。

発表の中で、NRFのサプライチェーン・税関担当バイスプレジデントのジョナサン・ゴールド氏は「2022年春から夏にかけて、消費者が自由に支出し、小売業者は需要を満たすために商品を持ち込んだため、これまでで過去最高の繁忙期だった。2023年はそれが繰り返されることはないだろうが、われわれが予想している数字は、パンデミック前であれば正常と見なされるだろう」と指摘した。

また、ハケット・アソシエイツの創設者ベン・ハケット氏は「前年と比較して、西海岸の輸入コンテナの流れは需要とともに減少し続けている。運送業者はロサンゼルス地域の港へのサービスを減らしつつも、過剰な能力を吸収するために、ほかの寄港地への航海を拡大している。一方で、貨物運賃は需要の減少の影響を受けているが、新たに船が姿を見せ始め、さらに船の発注が行われている。これは、運送会社が新造船の引き渡しまでに需要が改善すると期待していることを示している」とも指摘した。

グローバル・ポート・トラッカーの見通しでは、2023年3月の輸入コンテナ量は前年比28.2%減の168万TEUと、大幅に減少するもようだ。また、4月の貨物取扱量は前年比18%減の186万TEU、5月は前年比20.1%減の191万TEUと減少傾向が続く一方、7月には200万TEU以上まで回復すると予測されている。

上述の見通しでは、前年比で大幅な減少が続いているが、NRFによると、これは前年の異常に高い数値によるもの。新型コロナ禍前の2019年の輸入量は月平均180万TEUで推移していた。しかし、2021年に月間輸入量が20カ月連続で200万TEUを超え、2022年5月には単月として過去最高の240万TEUを記録した。

2023年の輸入貨物量は前年と比較して徐々に落ち着き、少なくとも6月まで月間輸入量が200万TEUを下回ると見込まれている。

(注)主要輸入港には、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル、タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミ、ジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港が含まれている。

(樫葉さくら)

(米国)

ビジネス短信 23548a06b01268a7