第4回メコン川委員会サミット、イノベーション強化を推進へ

(ラオス)

ビエンチャン発

2023年04月12日

メコン川委員会(MRC、注)は4月5日、ラオスの首都ビエンチャンで「水の確保と持続可能なメコン川のイノベーションと協力」をテーマにした第4回MRCサミットを開催した。カンボジアのフン・セン首相、ラオスのソーンサイ・シーパンドーン首相、ベトナムのファム・ミン・チン首相、タイのスラシー・キティモントン国家水資源局事務局長らが参加し「ビエンチャン宣言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を採択した。メコン川流域国である中国やミャンマーもオブザーバー参加した。

ビエンチャン宣言では、メコン川の水資源開発は、経済成長への貢献をもたらす一方で、激しい洪水や干ばつ、水量の急激な変動など流域環境や地域コミュニティーに悪影響をもたらす可能性を認識するとした。また、緊急時に流域国間でより効率的でタイムリーな情報共有システムを確保するとした。さらに、政策、テクノロジー、協力・パートナーシップメカニズムのイノベーションを通して河川流域管理を強化するとした。

また、サミットの開催に合わせて、今回初めてカンボジア、ラオス、ベトナム、タイの大学生が参加して水位、水質、雨量、土壌水分をそれぞれ測定・監視する遠隔測定センサー技術の開発を競う第1回コンペが開催された。メコン川委員会によると、水文(水の循環)、降雨、水質、生態系、漁業、干ばつなどについて約250カ所に設置した観測所でモニタリングしているが、設備は外国製で高価なものが多く、メンテナンスが課題となっていることから本コンペを企画したという。

(注)メコン川委員会は、1995年にメコン川流域の持続的発展に関する協力協定がタイ、ラオス、ベトナム、カンボジアの4カ国で調印され、設立された国際機関。2010年以降、4年に一度サミットを開催している。流域国である中国、ミャンマーはオブザーバーとしての参加にとどまっている。メコン川は中国、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナムの6カ国を流域とする国際河川。アマゾン川、コンゴ川に次ぐ動植物の多様性を保持する大河だ。

(山田健一郎)

(ラオス)

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