中銀、金融機関での電子本人確認に関するルール発表

(フィリピン)

マニラ発

2023年04月19日

フィリピン中央銀行(BSP)は4月3日、カスタマー・デューディリジェンス(顧客管理、注1)に関する規制の修正を承認し、BSPが監督する金融機関(BSFIs)で顧客が口座を開設する際の電子本人確認(注2)に関する要件を新たに定めたことを発表した。新ルールは「BSP通達第1170号(BSP Circular No.1170)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」で規定している。電子本人確認を既に実施している金融機関は、1年以内に今回制定のルールに沿った対応を取る必要がある。

また、通達では、政府が推進している国民IDシステム(注3)がフィリピン人やフィリピンに居住する外国人に対する本人識別の中心的なプラットフォームで、金融機関での本人確認に有効と明記している。今回のルール制定により、金融機関に口座を開設する利用者にとって、国民IDを保有・利用するインセンティブが高まることが期待される。金融機関にとっても、本人確認を行うコストが低減するというメリットがある。

BSPのフェリーペ・メダーリャ総裁は、BSPの政策によって電子本人確認の技術やシステムが発展し、より円滑な手続きが実現するだろうと述べた。また、電子本人確認は、金融包摂に資するイノベーションやデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する重要な仕組みと付け加えた。

(注1)カスタマー・デューディリジェンス(顧客管理)とは、金融機関などで顧客の個人情報や取引履歴を収集し、顧客ごとにマネーロンダリングやテロリストへの資金供与に関わる金融取引に関するリスク評価、リスク低減を行う一連の対応を指す。

(注2)本人確認をオンライン上で実施すること。

(注3)国民IDシステムでは、フィリピン人、フィリピンに居住する外国人を対象に、各人にIDを交付する。IDはカードでの発行と、電子上での発行がある。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン)

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