米中古衣料品のリセール市場、2023年に440億ドルに拡大の見通し、インフレや品質向上が後押し

(米国)

ニューヨーク発

2023年04月12日

リセール(再販)衣料品のオンラインEC(電子商取引)サイトを運営する米国のスレッドアップが4月5日に公表した2023年の中古衣料市場に関する調査「Thredup Resale Report 2023」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、米国の中古衣料品(リサイクルショップ、寄付を含む)の2023年の市場規模は約440億ドルと見込まれている。2017年時点の200億ドルから約2.2倍に成長し、2027年には2023年の約1.6倍の700億ドルまで拡大すると推定している。同市場は従来、実店舗を中心に存在したリサイクルショップや寄付と、オンラインを中心に品質が良く、高級な中古衣料を扱うリセールプラットフォームの2つのカテゴリーに分けられるが、特に後者が市場の成長を後押しすると予想している。

同社が調査会社グローバルデータの協力を得て、2022年12月に米国の成人3,012人を対象に行ったアンケート調査によると、経済の先行き不透明感やインフレが続く中、衣料品の購入行動に影響を与える要因として最も多かったのは「価格」だった。また、1990年代後半から2010年前後に誕生した「ジェネレーションZ」では、「サステナビリティー」が上位に含まれており、若い世代を中心にリセール品に関心が集まっていることがうかがえる。

調査会社イーマーケターによると、ECを用いたリセール市場は米国の小売業の中でも急成長している分野の1つで、2023年には対面を含むリセール市場全体に占めるECの割合は74.6%まで増加すると見込まれている。インフレの影響や環境問題への懸念が消費者に重くのしかかる中、上述の調査結果にも表れているとおり、特にZ世代は中古衣料品やサステナビリティーに強い関心を寄せており、多くの小売業者は、若年層の新規顧客を獲得して新たな収益源を確立することなどを目的に、リセール市場に注力している。

また、最近では衣料品に限らず、自社製品の買い取り・販売を実施する企業も増えつつある。例えば、スウェーデン発祥の家具量販店イケアは2022年4月、自社製の中古家具の買い取りと販売を行うプログラムを米国内の37店舗で開始した。同プログラムでは、使用済み製品を売りたいユーザーが同社のECサイトにあるフォームに家具の状態などを記入することでイケアが見積額を提示し、その後店舗に持ち込まれた家具の状態をイケアが確認したのち、最終的な返金が行われる。持ち込まれた家具は、同社の店舗で中古品として割引価格で再販売される。さらに、イケアは4月から同社のECサイトでオンラインでも中古品を閲覧・予約できるよう新たなサービスを展開し、店舗で受け取りや購入ができるサービス「アズ・イズ・オンライン(As-is online)」を開始すると発表した。

スレッドアップによると、2022年にリセールプログラムを展開する企業は前年から3.4倍の88社と、大幅に伸びている。より品質の高い商品をそろえるECプラットフォームが登場し、リセール市場全体の品質が向上する中、今後もその関心はさらに高まることが期待されており、動向が注目される。

(樫葉さくら)

(米国)

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