タイとラオスの2国間会合、国境貿易の促進で合意

(タイ、ラオス)

バンコク発

2023年04月06日

タイ商務省貿易交渉局(DTN)は3月17日、同国のキーラティ・ルチャノー商務事務次官とラオスのマライトーン・コンマシット商工相の間で3月9日に行われた2国間会合の結果を発表した。同会合では、2025年に2国間貿易額を110億ドルへと拡大させる目標に向け、国境検問所の再開、貿易円滑化などについて意見交換を行った。

タイにとってラオスはASEAN加盟国で8番目の貿易相手国で、ラオスにとってタイは最大の貿易相手国だ。2022年の2国間貿易額は前年比8.5%増の78億7,900万ドルで、タイの対ラオス輸出は13.5%増の45億4,000万ドル、対ラオス輸入は2.4%増の33億3,900万ドルだった。タイからの主な輸出品は石油製品、宝石・貴金属、砂糖、化学品、自動車などで、主な輸入品はエネルギー(電力)、金、野菜・果物、肥料、化学品などだ。

2国間貿易全体のうち、国境貿易(陸上国境を通じた貿易)の割合は95%に達する。そのため、国境貿易のゲートウェーとなる国境検問所の再開が急務となっている(注)。キーラティ事務次官はマライトーン商工相に対し、12カ所の国境検問所の再開を加速することに加え、タイの中国向け輸出品(ドリアンなど)について貿易円滑化に協力を要請した。ラオス側からは、同国内を通過するタイ産品について、より便宜を図るとの回答があったという。新型コロナウイルス感染に伴う検疫措置の強化が国境貿易のボトルネックとなっていたが、両国で貿易協力を強化し、貿易阻害措置を取り除き、国境貿易を活性化することで合意した。

2月3日付バンコクポスト紙によると、タイとラオスの間には49カ所の国境検問所があり、タイ側で44カ所、ラオス側で36カ所の再開が許可されている。キーラティ事務次官は、2月2日にビエンチャン市のプーコン・バンナボン副市長を訪問しており、特にノンカイ県にある4カ所の国境検問所の早期再開を求めていた。

なお、両国間では鉄道輸送の促進についても協議が進んでいる。タイ運輸省鉄道局(DRT)の発表によると、同局とタイ財務省関税局、ノンカイ税関の幹部が1月26日にビエンチャンで建設中のカムサワート駅を視察している。同駅は、タイのノンカイ駅とラオスのタナレーン駅の延長線上に位置し、タイ周辺国経済開発協力機構(NEDA)の融資により開発が進んでいる。同駅ではコンテナヤードや商業施設の開業も予定されており、タイ・ラオス間の輸送効率向上や貿易機会の拡大が見込まれる。今後、ノンカイ~ビエンチャン間で25両編成の列車が1日14本運行される予定だ。

また、DRTによると、ノンカイ駅周辺で積み下ろしが可能な区画が開発される予定となっており、タイ~ラオス~中国の間でシームレスな輸送が実現される見込みだ。

(注)新型コロナウイルス感染症の流行以来、水際対策強化の一環で、一部がまだ閉鎖されたままとなっている。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、ラオス)

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