外国企業の新規進出数は前年比減も、過去3番目の水準、ICT、保健・福祉分野が中心
(フィンランド)
ロンドン発
2023年03月08日
フィンランドの政府系機関ビジネスフィンランド(BF)は2月8日、2022年の外国投資に関するデータを公表した。
ロシアによるウクライナ侵攻、インフレやエネルギー危機が世界的に影響を与えた中、2022年に新たにフィンランドに進出した外国企業は前年比30社減となったものの、300社と過去3番目の高水準となった。内訳をみると、買収が前年比34社減の211社となった一方で、グリーンフィールド投資は4社増の89社だった。新規投資に加え、進出済みの外資系企業による追加投資は157件と、前年比8件減だった。
BFのアンティ・アウモ投資担当ダイレクターは、2022年の外国企業の進出は好調だったものの、より魅力的なビジネス環境を作るためには事業許可のプロセスを改善する必要があると述べた。
新規進出企業数を国別でみると、スウェーデンが最多の107社、続く英国が47社、米国が24社だった。
分野別では、情報通信技術(ICT)が最大で、保健・福祉分野が続く。ICT分野では新たに進出した企業数は62社と、前年比で42社、2020年比で12社の減少となった。一方、保健・福祉分野では、37社と前年から13社増加した。
フィンランドの企業数全体に占める外資系企業の割合は約1%だが、民間部門の雇用者数に占める割合では20%を占めており、経済に与える影響は大きいとしている。
BFは3月2日、同国の税制が企業活動に与える影響について、法人税のEU内での相対的な低さ(20%)と2023年1月に開始した研究・開発経費に対する税制優遇を紹介。一方で、BFは、在フィンランド米国商工会議所(アムチャム)とインベストインフィンランドが在フィンランド企業に行った調査結果をまとめた「FDIバロメーター2023」を引用しつつ、法人税を強みと考える企業は国内企業、外資系企業ともに少数で、今後のインフレ状況を踏まえ、政府に対しビジネスフレンドリーな税制を求める声も聞かれたとしている。なお、同調査で外資系企業がフィンランドの強みとして挙げた割合が高かったのは、「社会的な安定性・機能性」「生活の質」「デジタルインフラ」だった。
(レイナー・あや、半井麻美)
(フィンランド)
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