商工観光相、保護主義化を否定も、競争条件のバランス重視を強調

(コロンビア)

ボゴタ発

2023年03月15日

コロンビアのヘルマン・ウマーニャ商工観光相は3月8日、ラ・レプブリカ紙主催の国内企業家を表彰する「エンプレサリオ・デル・アーニョ(Empresario del Año)2022」の式典に登壇し、経済・通商政策に関するスピーチを行った。

冒頭、政府は通商政策を通して、法的・制度的安全性および経済モデルの安定性メッセージとして発信すると強調した。貿易については、保護主義に傾倒するのではないが、国内の供給者と海外の買い手との間の競争条件のバランスを整えると述べた。そのためにも、米国および欧州との自由貿易協定(FTA)の内容を見直すと表明した。コロンビアは、2012年に米国と、2013年に欧州との間でFTAを締結しているが、これらの国・地域との2022年の貿易収支は、米国が40億ドルの赤字、欧州が26億ドルの赤字となっている。政府はかねて、FTAの見直しや、米欧からの主要輸入品目であるトウモロコシや医薬品の国内生産の可能性について触れており、ウマーニャ商工観光相はあらためて、FTAの内容見直しに関する対話を進めると述べた。

ウマーニャ商工観光相はまた、2件の外国直接投資についても触れた。1つ目は、フランスのエアバス向けに、無人航空機の尾翼および胴体部分の製造を独占的に行う計画だ。製造開始時期や金額については明らかにされなかったが、エアバスは2015年にコロンビアに進出して以降、国防省や商工観光省と、国内での部品製造やシステム開発の可能性を協議していた。2つ目は、フランスのルノーおよびルノーコロンビアが、国内での電気自動車(EV)製造に1億ドルを投じる計画だ。EV製造についてウマーニャ商工観光相は、エネルギー転換を推し進めるために自動車産業が果たす役割は大きいと語り、投資を歓迎した。

2月24日に行われた日本コロンビア商工会議所の総会に出席したルイス・フェリペ・キンテロ商工観光省副大臣は、産業政策の要として、エネルギー転換、保健、農業、地方開発などの分野における再工業化を唱え、これらの分野で、日本企業が持つ先端技術を生かした投資に期待すると語った。

(茗荷谷奏)

(コロンビア)

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