中国バッテリーリサイクル大手の格林美がメルセデス、CATLなどと協業MOUを締結

(中国、ドイツ)

広州発

2023年03月06日

中国のバッテリーリサイクル大手の格林美(GEM)は227日、ドイツ自動車大手のメルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツ(中国)自動車販売および北京ベンツ汽車、中国のリチウムイオン電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)とその孫会社である湖南邦普循環科技の計4社と、バッテリーのクローズドループリサイクル(注)の協業に関する覚書(MOU)を締結したと発表した。覚書の有効期限は3年。

覚書によると、メルセデス・ベンツの廃棄バッテリーは、GEMと湖南邦普循環科技によって処理され、そこから回収されたニッケル、コバルト、マンガン、リチウムなどの材料をCATLに供給する。CATLがリサイクルされた材料で生産したバッテリーは、メルセデス・ベンツの車両に搭載される。また、覚書では、バッテリーのリサイクル技術やビジネスモデルについても協力を深めるとしている。

ある証券会社のアナリストによると、自動車関連企業にとって、バッテリーのリサイクルに踏み切るかどうかは、バッテリーの原材料である炭酸リチウムの価格が大きな決め手となる。炭酸リチウムの価格が1トン当たり20万元(約400万円、1元=約20円)を超えると、バッテリーのリサイクルは経済的なメリットがあるといわれている。なお、228日現在、中国国内の炭酸リチウム価格は1トン当たり402,500元だ(「財新」228日)。

GEMは、2001年に広東省深セン市に設立されたバッテリーリサイクル企業。新エネルギー材料の生産、廃棄バッテリーや廃車、電子廃棄物のリサイクルなどを行っている。CATLは、広東邦普循環科技を2015年に買収し、バッテリーリサイクル分野に参入した。広東邦普循環科技は、広東省仏山市に本拠を置き、バッテリー産業チェーンの川上から川下までカバーするリサイクルシステムを構築している。同社ウェブサイトによれば、同社におけるバッテリー製品のコア金属材料の総回収率は99.3%以上だ。

(注)不純物を取り除くことで、素材として再利用でき、無限に循環利用されるリサイクル。

(梁梓園)

(中国、ドイツ)

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