ベルリンで国際旅行博ITB開催、日本の自治体や観光団体が魅力あるコンテンツをアピール

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2023年03月31日

国際ツーリズム・マーケット展「ITB Berlin 2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が379日にドイツ・ベルリンで開催された。2019年以来4年ぶりのリアル開催となり、161カ国から約5,500社・団体が出展。約9万人が来場し、BtoBの商談が繰り広げられた。

日本からは、日本政府観光局(JNTO)が運営する日本パビリオンで地方自治体や観光関連企業など21社・団体が出展した。このほか、東京都は独自のブースを設けた。日本の新型コロナウイルス感染関連の規制が緩和されたこともあり、日系観光関連企業は各国の旅行関連企業との商談を活発に展開。日本の地方自治体などはそれぞれのユニークな観光コンテンツを積極的に発信した。JNTOフランクフルト事務所の臼井さやか所長は「日本は前年10月から水際措置の緩和による観光受け入れを再開した。今あらためて日本の観光業界が頑張っている姿をPRし、海外に認知してもらうことが重要。ドイツに向けて、日本の魅力ある食や自然、アウトドアを中心にアピールしている」とコメントした。

写真 日本政府観光局(JNTO)が運営する日本パビリオン(ジェトロ撮影)

日本政府観光局(JNTO)が運営する日本パビリオン(ジェトロ撮影)

日本観光振興協会は日本各地の酒蔵を訪問して日本酒を楽しむ「SAKAGURA(酒蔵)Tourism」で訪日客誘致に取り組んでいる。同協会の杉野正弘国際業務部長は「訪日客に日本酒を日本の地域で楽しんでもらい、帰国後にECサイトで日本酒を購入するという循環を作っていきたい」と、酒蔵ツーリズムから日本酒の販売増・輸出増につなげていくとの意欲を示した。

京都市観光協会は、割れた食器を金で継ぐ「金継ぎ」を伝統産業の職人などと交流しながら経験できる文化体験型の観光を提案する。同協会は「金継ぎはサステナブルの観点からも人気がある」とアピールした。

写真 京都市観光協会のブース(ジェトロ撮影)

京都市観光協会のブース(ジェトロ撮影)

和歌山県は、世界遺産に登録されている熊野古道・高野山の巡礼ツーリズムに加え、みなべ町や海南市での梅酒体験ワークショップなど、インバウンド誘客に向けた食の魅力発信にも力を入れており、202211月にはインバウンド観光客向けに新たに多言語対応飲食店サイト「EAT WAKAYAMA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を開設した。同県観光交流課の今西陽子主事は「多くの方々にEAT WAKAYAMAのサイトを活用してもらえれば」と期待を込めた。

写真 和歌山県のブース(ジェトロ撮影)

和歌山県のブース(ジェトロ撮影)

ドイツ観光局の西山晃日本支局長は、ドイツへのインバウンド誘致の視点から「サステナブルは重要な要素だが、それだけではモチベーションにはならない。面白いもの、おいしい食事といった魅力あるコンテンツを提供できることが必要条件」という。

海外からの観光客誘致には食や体験型など、地域の魅力を観光コンテンツとしてかたちにした上で、それらをいかにうまく発信し、届けられるかがカギになるようだ。

次回の「ITB Berlin」は、2024年3月5~7日に開催予定。

(和爾俊樹)

(ドイツ、日本)

ビジネス短信 da2600347c51a66f