メルセデスの蓄電池リサイクル工場、2023年末から稼働

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年03月10日

ドイツ自動車大手のメルセデス・ベンツグループ傘下のメルセデス・ベンツは33日、ドイツ南部バーデン・ビュルテンベルク州の蓄電池リサイクル工場の定礎式を行った外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

同リサイクル工場は、メルセデス・ベンツが20218月に、電動車時代に向けた新計画を発表(2021年8月3記事参照)した際に公表していたもの。バーデン・ビュルテンベルク州の州都シュツットガルトの西方約80キロに位置するクッペンハイムに建設する。工場の敷地面積は7,000平方メートルで、年間2,500トンのリチウムイオン電池のリサイクルが可能だ。回収された資源は、メルセデス・ベンツの新型電気自動車(BEV)用蓄電池モジュールに再利用、蓄電池モジュール5万個以上に相当する量になる。BEVまたはプラグインハイブリッド車(PHEV)から回収したリチウムイオン電池について、まずは子会社のメルセデス・ベンツ・エナジー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが定置型蓄電池としての利用を促進、定置型でも使用が難しくなった蓄電池を同工場でリサイクルする。メルセデス・ベンツは、得られた結果に応じ、中・長期的にはリサイクル容量を拡大する可能性があるとしている。

同工場では、2023年末までに、リチウムイオン電池リサイクルの破砕工程を開始する予定。蓄電池リサイクルの方法は湿式製錬方式を採用し、リサイクル率96%以上を目指す。具体的にはコバルト、ニッケル、リチウムを回収、将来的には黒鉛も回収する。技術提携先として、ドイツ金属産業向け設備エンジニアリング大手のSMSグループとオーストラリアのネオメタルズ(Neometals)の合弁会社であるプリモビウス(Primobius)と協業する。また、カールスルーエ工科大学などの研究機関とも協力する。

メルセデス・ベンツは、同工場に数千万ユーロ規模の投資を行う。ドイツ連邦経済・気候保護省は20227月、今回のプロジェクトに1,666万ユーロの助成を行うことを発表している。定礎式に参加したバーデン・ビュルテンベルク州のテクラ・バルカー環境・気候・エネルギー産業州経済相は、同工場が循環型経済の先導役となることを評価し、蓄電池リサイクルを進めることで「重要な原材料を一部の国・地域に依存することを低減し、経済の強靭性の強化に寄与する」とコメントした。

(高塚一)

(ドイツ)

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