バイデン米政権、対ロ制裁順守に関する勧告を公表、ロシアなどに加担する事業体を輸出管理対象に追加

(米国、ロシア、ベラルーシ、中国)

ニューヨーク発

2023年03月08日

米国の商務省産業安全保障局(BIS)、財務省外国資産管理局(OFAC)および司法省は3月2日、ロシア関連制裁の迂回および輸出管理の順守に関する勧告を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

商務省で輸出管理を担当するマシュー・アクセルロッド次官補は「今回初となる勧告が明らかにしているとおり、効果的でリスクベースの法令順守プログラムを維持することは産業界に課せられた責務だ。BISはOFACおよび司法省と協力して、ロシアの侵攻を抑止するために悪意のある行動者が輸出管理を迂回することを防ぐべく、あらゆる手段を講じていく」と述べ、産業界への期待を示した。6ページからなる勧告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、特に第三者的立場の仲介者を使って、制裁・輸出管理を迂回する形態がとられやすいとしており、例として次のような行動が危険信号になり得るとしている。

  • 所有者、資金源、関連する国を隠ぺいするためのダミー会社などの利用。
  • 顧客が、納品した製品の最終用途に関する情報を共有しないこと。
  • 企業の登録地から離れた行政管轄地の金融機関を利用した国際送金。
  • 顧客が、購入した製品の設置や利用手順の説明、メンテナンスを拒むこと。
  • 知らされている顧客の所在地と関係のないIPアドレスが使われていること。
  • 顧客との従来の取引慣習に反するような直前での搬送依頼の変更。
  • 企業のEメールアドレスではなく、個人のアドレスを使用していること。

BIS、OFAC、司法省は今後、継続的に勧告を公表していく予定だとしている。

37の外国事業体を輸出管理対象に追加

BISはさらに、3月6日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、米国の安全保障・外交上の利益に反する行動に関与したとして、37の外国事業体を輸出管理規則(EAR)上のエンティティー・リストに掲載した。理由は大きく分けて、(1)ロシアの軍および防衛産業の支援、(2)中国軍の現代化支援、(3)中国政府による少数民族弾圧への貢献、(4)パキスタンなどでの核・ミサイルプログラムの支援、(5)ミャンマーの軍事政権による人権弾圧への加担、となっている。掲載された37事業体のうち、中国拠点が28と最も多く、中には中国最大の遺伝子解析企業である華大集団(BGI)の関連会社も含まれている。商務省のドン・グレーブス副長官は「ロシアの軍事的威圧行為と中国軍の現代化に反対し、人権を保護するに当たって、われわれは自らの価値観を行動に移し、その過程で安全保障を促進する。この目標を達成するために、利用できる手段の使用をためらうことはない」と、今後も執行強化を続ける意気込みを示している外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(磯部真一)

(米国、ロシア、ベラルーシ、中国)

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