スイス国立銀行、インフレ抑制のため政策金利をさらに引き上げ

(スイス)

ジュネーブ発

2023年03月27日

スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は3月23日、金融政策をさらに引き締め、政策金利を現状から0.5%ポイント増の1.5%とすると発表した(プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。これにより、さらなるインフレ圧力に対抗できるとしつつ、中長期的な物価安定を目指して追加的な引き上げが行われる可能性を否定できないとした。また、適切な金融環境を提供するため、SNBは外国為替市場に積極的に関与する意向を維持しており、ここしばらくは外貨を売ることに焦点を当てていたとした。新たな政策金利は3月24日から適用され、一定の基準値まではSNBの政策金利である1.5%が適用され、この基準値を超える部分については1.0%の金利が適用される。

クレディ・スイスをめぐる対応については、連邦政府と金融市場監督局(FINMA)と連携して危機的状況を免れたが、その中でSNBは、スイス・フランや外貨による大量の流動性支援を行っており、これらは安全に運用されるとしている。

消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)については、2023年初から再び上昇し、2月には3.4%となっており、SNBが物価の安定とみなす水準を明らかに上回った。その主な原因は、電力、観光サービス、食料の価格上昇だが、影響は広範囲に及んでいるとした。またSNBは、政策金利1.5%を前提とした新たな条件付きインフレ予測を、2023年は平均2.6%、2024年と2025年は平均2.0%とし、今回の政策金利の引き上げがなければ予測期間中のインフレ率はさらに高くなるとした。

(竹上嗣郎)

(スイス)

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