米アリゾナ州選出の連邦上院議員、米国南西部の水資源確保に向けた資金拠出を連邦政府に要請
(米国)
ロサンゼルス発
2023年03月23日
米国アリゾナ州選出のマーク・ケリー連邦議会上院議員(民主党)は3月10日、内務省米国開拓局(USBR)に対し、2億5,000万ドルの資金をアリゾナ州の水インフラプロジェクト向けに迅速に拠出するよう要請した。資金の拠出はインフラ投資雇用法に基づくもので、ミード湖をはじめとするコロラド川下流域の貯水池の水資源を確保するとともに、同流域における長期的な水使用の効率化を目指す。地元紙によると、USBRは資金提供の最終調整をしている(「AZセントラル」紙電子版3月10日)。
アリゾナ州では、水不足の影響により、2022年1月よりダムや流域からの段階的な取水制限が開始され、住民の生活や企業の事業活動に影響が出ている(2023年1月31日記事参照)。スイスの大手食品・飲料メーカーのネスレは、フェニックス西部のグランデール市に7億ドルを投じて工場を建設すると2022年に発表したが、新施設での水源の確保が課題となっている。同社は水源の確保に向けた交渉を継続するのでなく、施設内に廃水処理の設備を保有し、自社で水処理を行うことで水源を確保できないか検討しており、そのためにアリゾナ州の事業者が自らの工場で水処理ができるようにする法律改正を求めていると報じられている(「12ニュース」3月13日)。
また、米国マイクロソフト(本社:ワシントン州)は3月6日、グットイヤー市の300エーカー(約121万平方メートル)の土地に建設するデータセンターで使用する冷却システムを水冷式から空冷式に変更することについて、同市と合意したと発表した。当初、施設で冷却に使用する水量を1日当たり100万ガロン(3,785キロリットル)から500万ガロンと想定していたが、市から供給された水を再利用するには処理や費用が生じることから、データセンター5棟中2棟を空冷式の冷却システムに変更するとしている(「フェニックス・ビジネス・ジャーナル」3月14日)。
アリゾナ州では土地開発が急速に進んでいるが、水の確保は引き続き大きな課題となっている。
(サチエ・ヴァメーレン)
(米国)
ビジネス短信 c4562dc5fa40ddf5