中国、中央アジアで職業訓練校を通じた技術支援強化へ

(カザフスタン、中国、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)

タシケント発

2023年03月09日

在中国カザフスタン大使館の発表(3月2日)によると、東カザフスタン工科大学(東カザフスタン州オスケメン市)は中国の天津職業大学と、職業訓練校「魯班工坊」の共同開設に関する覚書に署名した。

両大学は、東カザフスタン工科大学キャンパス内に設置される訓練校において、中国の技術と機材を用いて機械工学技術者養成プログラムを実施する。将来的には、電気自動車(EV)、3Dプリント、工場自動化(FA)の分野での協力を進める予定だ。

中国春秋戦国時代の発明家・工匠とされる「魯班」の名を冠する職業訓練校は、天津市政府が2016年から東南アジア諸国を中心に展開を開始したが、現在では中国政府に採用され、中国が進める「一帯一路構想」沿線の開発途上国を中心に世界21カ国、26校(2023年3月2日時点)が開校したとされる(「ディプロマット」2021年11月11日、在中国カザフスタン大使館ウェブサイト2023年3月2日)。

中央アジア諸国でも、タジキスタンのタジク工科大学が2022年に開校したのに続き、ウズベキスタンの国立タシケント運輸大学でも開校に向け準備を進めている(「ユーラシアネット」2022年9月1日)。2023年1月に行われたトルクメニスタン・中国首脳会談での共同宣言にも、トルクメニスタンでの開校の可能性が言及されている(「オリエント」2023年1月7日)。

中国の習近平国家主席は2021年9月に行われた第21回上海協力機構(SCO)首脳会議で、3年以内にSCO加盟国内に魯班工坊を新たに10校新設すると発言しており(魯班工坊ウェブサイト2022年1月5日)、中国が産業技術支援を通じて地域への影響力を強化していくことが想定される。

(増島繁延)

(カザフスタン、中国、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン)

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