ボー・バン・トゥオン氏が国家主席に就任、チョン書記長の側近

(ベトナム)

ハノイ発

2023年03月10日

ベトナム国会は、第15期(2021~2026年期)第4回臨時国会を3月2日に招集し、ボー・バン・トゥオン共産党書記局常務を新たな国家主席として選任した。ベトナムでは、グエン・スアン・フック前国家主席が1月18日に辞任し、ボー・ティ・アイン・スアン国家副主席が国家主席代行を務めていた(2023年1月20日記事参照)。トゥオン氏は1970年生まれ(現在52歳)で、南部ビンロン省出身。ベトナム社会主義共和国に改称された1976年以降、最年少の国家主席となる。

トゥオン氏は、ホーチミン市国家大学人文社会科学大学で哲学の修士を取得し、ホーチミン国立政治学院で高級政治理論を修習している。ホーチミン市共産青年団の書記などを経て、中部クアンガイ省の党委員会書記、ホーチミン市党委員会副書記を歴任。2016年の第11回党大会で共産党の意思決定機関である政治局の一員となり、中央教宣委員長を務めた。2021年からは、ベトナムの政治システムの中で最高指導者4人(注)に次ぐ要職とされる書記局常務に就任していた。これまで共産党の職務を中心とした職歴を重ねており、外交経験は少ない。首相も歴任し、各国首脳と関係を深めたフック氏に対し、トゥオン氏が今後どのように外交に関与するかは未知数だ。

トゥオン氏はグエン・フー・チョン書記長に長く仕えた側近で、就任演説では断固として反汚職に取り組むと表明した。同時に、持続可能な発展体制を整備し、クリーンで強固な国家を築き、全ての人、特に若い世代が公平かつ透明性のある発展の機会を得て、国に貢献するための環境をつくると述べた。

(注)ベトナムは、「四柱」とされる主要4ポスト(書記長、国家主席、首相、国会議長)を最高指導者とする集団指導体制をとる。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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