大統領選、5月14日に前倒し実施を正式決定

(トルコ)

イスタンブール発

2023年03月16日

トルコの3月10日付官報32128号大統領令121号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は大統領権限(注1)によって、大統領選挙と国会議員選挙について、当初予定から約1カ月前倒しとなる5月14日に実施することを正式に決定した(注2)。高等選挙委員会は同日付官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、大統領選挙でどの候補者も法定得票率の50%以上を獲得しなかった場合には、決選投票が5月28日に行われるとした。

3月14日時点で、大統領選挙に立候補を表明しているのは以下の4人。公式には、高等選挙委員会が3月31日に発表する予定。

  • エルドアン大統領:与党・公正発展党(AKP)、極右の民族主義者行動党(MHP)を中心とした「人民同盟(Cumhur İttifakı)」の擁立候補。極右の大統一党(BBP)、クルド系イスラム政党の自由思想党(HÜDA-PAR)が支援を発表。
  • 共和人民党(CHP)のケマル・クルチダルオール党首:最大野党で中道左派のCHP、右派の優良党(İYİ)、イスラム政党の至福党(Saadet)、民主主義進歩党(DEVA)、未来党(Gelecek)、民主党(DP)の6党による「国民同盟(Millet İttifakı)」の統一候補。
  • 故国党(Memleket P)のムハッレム・インジェ党首(2018年の大統領選挙ではCHP候補)。
  • 小党4党からなるATA同盟(ATA İttifakı)が擁立したシナン・オアン候補。

憲法によると、大統領任期は2期までとされ、エルドアン大統領は2014~2018年、2018~2023年の2期を終える。エルドアン大統領が当選した場合は3期目になるため、これを違憲とする野党と、2017年の憲法改正で実権型大統領制度が導入されたことに伴って任期がリセットされたとする与党との間で意見が分かれており、エルドアン大統領の立候補が可能か否かは、高等選挙委員会が判断することになる。

ロイター(3月10日付)は、野党連合の国民同盟が選挙に勝利すれば、AKP政権前半でトルコの経済運営を担ったアリ・ババジャンDEVA党首が経済担当相として復帰する可能性を指摘している。

(注1)法的には、国会で総議席数600人のうち360人の承認を得るか、大統領権限によって、大統領選挙と国会議員選挙を前倒しにすることが可能。現在の与党の議席数が360人を下回っていることから、エルドアン大統領は大統領権限を利用せざるを得なかった。

(注2)エルドアン政権は2023年初めに、当初予定されていた6月18日の選挙時期が季節労働者の移動や学校の夏休み、大学のセンター試験、イスラム教徒の巡礼などの時期に重なっていることから、選挙前倒しの検討を始めていた。

(エライ・バシュ)

(トルコ)

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