BRICS銀行の新総裁にブラジル元大統領のジルマ・ルセフ氏が就任

新開発銀行（NDB、通称：BRICS銀行）は3月24日、理事会の全会一致で、次期総裁にジルマ・ルセフ元ブラジル大統領が就任すると発表した。2020年7月から総裁を務めていたマルコス・トロイジョ氏から交代する。就任期間は2025年7月まで。

NDBは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国のいわゆるBRICS諸国によって、BRICS諸国やその他の新興国のインフラや持続可能な開発プロジェクトに融資を行う目的で、2015年に設立された。本部は中国・上海市に所在する。総裁は、創設メンバーのBRICS諸国から選出され、任期は5年。現在の加盟国は、BRICSの5カ国に加えて、バングラデシュ、エジプト、アラブ首長国連邦（UAE）が新たに加わった。2022年12月時点の融資承認総額は328億ドルで、うちブラジル向けが50億ドルを超える。承認されたプロジェクト数は96件。

ルセフ新総裁は2003年から2010年まで、労働者党所属でブラジルの現職大統領ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ氏が大統領を務めた第1期政権（2003年～2006年）と第2期政権（2007年～2010年）で鉱山エネルギー相などを務め、労働者党政権下のブラジルの陰の立役者だった。2011年1月1日からブラジル大統領に就任し、2014年にも再選を果たした。ただ、2016年8月に行われた弾劾裁判によって罷免され、その後は要職に就いていなかった。

NDBはルセフ氏の新総裁就任に当たり、ルセフ氏はブラジル大統領時に経済安定と雇用創出に努め、貧困対策にも力を注いだと強調している（3月24日付NDBプレスリリース）。

（辻本希世）