2022年第4四半期のGDP成長率、前期比0.5%

(オーストラリア)

シドニー発

2023年03月14日

オーストラリア統計局(ABS)は3月1日、2022年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率が前期比0.5%と発表した(添付資料表1参照)。2021年第4四半期(10~12月)から5四半期連続でプラス成長を記録したが、2021年第4四半期や2022年前半と比べると緩やかな成長だった。また、前年同期比では2.7%成長した。今期のプラス成長は消費支出と輸出の増加によるものだった。

需要項目別の実質GDPを前期比でみると、民間最終消費支出は0.3%増で、5四半期連続でプラス成長だった。食品、宿泊、カフェやレストランなど外食サービス、交通への消費の増加による影響が大きかった。財貨・サービスの輸出は3四半期連続でプラス成長となった。特にサービス輸出が好調で、海外からオーストラリアへ留学生や旅行者が戻りつつあることが要因だ。また、非貨幣用金や農産品の輸出が減少したものの、海外からの需要継続により、石炭や鉱石の輸出は増加した。財貨・サービスの輸入は、資本財、消費財、中間財の輸入が減少したため、前期比4.3%減だった。

産業別にみると、主要産業の鉱業が前期比3.2%と最も増加した(添付資料表2参照)。特に、鉄鉱石(4.8%増)、鉱業関連サービス(2.5%増)、石油・ガス(1.0%増)が増加した。背景として、新しい鉱山の開設によって鉄鉱石の生産能力が増強されたことがある。一方、石炭は(1.4%減)減少した。石炭については、洪水被害でニューサウスウェールズ州の鉱山が被害を受けたことが影響した。また、情報通信業(2.6%増)、宿泊・飲食サービス業(1.4%増)も増加した。一方で、電気・ガス・水道・廃棄物処理業(4.9%減)、農林水産業(2.6%減)、専門・科学技術サービス(1.8%減)は減少した。電気・ガス・水道・廃棄物処理業の減については、人口が多い東海岸で例年と比較して夏の気候が穏やかだったため、電力消費が大きく減ったことによるものだ。

ジム・チャルマーズ財務相は「予想どおり経済成長は緩やかだった。2023年には経済成長への課題がさらに増えていくだろう。緩やかな経済成長は、世界経済の減速やインフレ率の高さ、金利の上昇、国際的なエネルギー危機による避けられない結果だ」と指摘した。

(青島春枝)

(オーストラリア)

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