丸紅がPIFとクリーン水素事業に関する覚書を締結

(サウジアラビア、日本)

リヤド発

2023年03月14日

丸紅は3月2日、サウジアラビアにおけるクリーン水素(注1)事業の開発に向けて、サウジアラビアの公的投資基金(PIF)との間で覚書を締結したことを発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。今後、サウジアラビアにおけるクリーン水素の製造、利活用および国際市場への輸出可能性について調査を進めていく予定だ。

丸紅は、サウジアラビアで4件の発電・造水事業に取り組んでおり、事業開発・運営に関する知見を生かして本プロジェクトを進めるとしている。同社は、グリーン戦略を企業価値向上に向けた基本方針の1つと位置付け、中期経営戦略として掲げる「グリーンビジネスの先駆者」を目指し、サウジアラビアの持続可能な経済の構築に貢献するとしている。

丸紅の瀬川憲司リヤド支店長は3月12日、「PIFとは、昨年(2022年)半ばごろから協力可能性について協議を開始し、今月(3月)合意に至った。サウジ国内におけるクリーン水素製造案件開発などの再生可能エネルギー案件での協力を目指している。PIFには、サウジ国内におけるサイト確保や、政府側との折衝などでのサポートを期待したい」と述べた。

サウジアラビアはOPECプラス(注2)の主要産油国だが、2060年までのカーボンニュートラル達成に向け、さまざまなプロジェクトにおいて脱炭素・省エネへの取り組みが進められており、再生可能エネルギーやクリーンエネルギーなどに注目が集まっている(2022年11月9日付地域・分析レポート参照)。

また、PIFは、ギガプロジェクトをはじめとする公共性の高いインフラ関連プロジェクトへ投資を行っており、サウジアラビア経済の多角化に貢献するとともに、国家目標のカーボンニュートラル達成に向けて積極的に取り組んでいる。2026年までに、再エネやクリーン輸送を含むグリーンプロジェクトへ100億ドル以上を投資する方針だ。

(注1)再エネを利用して水を電気分解することで製造し、製造工程で二酸化炭素(CO2)を発生させない「グリーン水素」や、化石燃料を燃焼させたガスを改質することで製造し、排出されたCO2を回収し貯留または利用(CCS、CCUS)してCO2排出を抑える「ブルー水素」などの総称。

(注2)サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などOPEC加盟国と、ロシア、メキシコなど非加盟の産油国で構成される。

(位田陸)

(サウジアラビア、日本)

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