2022年GDP成長率は2.4%と利上げにより鈍化、2023年はマイナス成長見込み

(チリ)

サンティアゴ発

2023年03月23日

チリ中央銀行の3月20日付発表によると、2022年の実質GDP成長率は前年比2.4%だった。過去最高を記録した2021年(11.7%)と比較すると成長率は鈍化している。

2022年のGDP成長率を需要項目別にみると、GDP成長率への寄与度が最も高かった内需は前年比2.3%増となった。(添付資料表1参照)。内需は、新型コロナ禍からの回復によって2021年から増加傾向が続いたが、2022年は一転してインフレ圧力に伴う政策金利引き上げにより鈍化基調となり、2022年第3四半期以降は前年同期比でマイナスに転じている。内需の内訳では、民間消費が2.9%増となり、主に交通やレストラン・ホテルなどサービスへの支出が増加した。一方で、主にテクノロジー製品などの耐久消費財への消費が減少した。政府消費は4.1%増となり、これは教育サービスへの消費が増加したことによるものだった。

総固定資本形成は前年比2.8%増で、主に住宅建設への投資が増加したことにより、建設・その他の投資が2.5%増だった。また、設備投資はトラックとバスの輸入増により、3.3%増だった。バスの輸入増は公共交通機関への電気バスの導入が政府によって推進されているためだ。

財・サービスの輸出入は、ともに前年比で増加したものの、輸入は鈍化基調が続き第3四半期から前年同期比マイナスに転じた。輸出入の主な増加はサービス部門によるもので、輸出は運輸、観光、企業サービス、輸入は金融サービスと観光分野が増加した。

経済活動別にみると、前年比でもっとも増加したのはレストラン・ホテル(21.2%増)、個人サービス(12.1%増)、運輸(10.5%増)の順で、全体のGDP成長率への寄与率が高かったのは製造業(寄与率:23.8%)、企業サービス(16.7%)だった(添付資料表2参照)。運輸は、陸上・航空旅客輸送が増加したことが影響している。個人サービスは、教育部門の支出増加が際立っているが、健康、文化、レジャー活動についても増加した。

現地エコノミストらは、2023年のGDP成長率についてマイナス2~マイナス0.25%になるとの予想を発表している。

(岡戸美澪)

(チリ)

ビジネス短信 5b766b7c0adff1ac