保健・ソーシャルケア相がスコットランド与党党首に就任

(英国)

ロンドン発

2023年03月29日

英国スコットランドの与党・スコットランド国民党(SNP)は3月27日、同党の新党首として保健・ソーシャルケア相のフムザ・ユスフ氏を選出したことを発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。前党首のニコラ・スタージョン氏が2月15日に突如、辞任の意向を表明(2023年2月16日記事参照)したのち、3月13~3月27日に党員による党首選挙が行われていた。候補者はユスフ氏のほか、ケイト・フォーブス財務・経済相、アッシュ・レーガン元地域安全担当相の3人。ユスフ新党首は28日、議会での投票を経てスコットランドの首相に就任する予定とされている。

ユスフ氏は勝利後の演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、生活費の上昇への対応や国営医療サービス(NHS)を含む重要な公的サービスの回復と改革、スコットランド内の人々の機会拡大などを当座の優先事項として取り組むとした。そのためにも、チャイルドケアの拡大や地方部の住宅事情改善、小企業の支援、イノベーションの加速に関する計画を迅速に立案すると述べた。英国政府との関係については、スコットランドの利益のために建設的に協力するとした一方、EUへの再加盟についても引き続き希求するとし、独立に向けた動きを草の根かつ市民主導で進めることを約束するとした。

公式には表明されていないものの、スタージョン前党首は今回の候補者の中で同氏を支持していたと報じられており、ユスフ氏自身もスタージョン氏の後継者とみなされていた。一方で独立については、選挙活動の中でも、支持をあらためて獲得するために取り組むと表明していた。同氏の選出を受け、リシ・スナク英国首相の報道官はスコットランド独立に向けた投票につき、あらためて否定したと複数の報道で報じられている。

なお、アジア系の同氏が首相に就任した場合、英国首相、スコットランド首相、ロンドン市長の3つの役割をアジア系英国人が担うことになる。

(山田恭之)

(英国)

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