東京ガス、米エイチツーユー・テクノロジーズと水電解装置向け低コスト触媒を共同開発へ

(米国、日本)

ヒューストン発

2023年03月13日

東京ガスは3月9日、独自の高効率な触媒探索技術を有する米国エイチツーユー・テクノロジーズ(本社:カリフォルニア州チャッツワース)と、水電解装置の低コスト化に向けて、共同開発契約を締結したと発表した。

脱炭素社会の実現に向け、世界中で水電解装置の開発が進んでおり、その中でもプロトン交換膜を用いた水電解方式は、電極に非常に高価かつ供給量が限定的なレアメタルの一種であるイリジウムを使用しているため、イリジウムの代替として、安価でレアメタルを用いない新規触媒の開発が急務となっているという。

発表によると、エイチツーユーが有する独自の触媒探索エンジン(CDE)は、高速で水電解触媒を合成し、反応活性を評価できる触媒探索技術だ。1個の触媒サンプル当たり、従来方式の合成・評価時間は3~4日だったが、CDEの活用により10分程度で実施が可能になるという。本開発は、CDEとAI(人工知能)の活用により、最適な触媒材料を効率的かつ迅速に探索することを狙いとしている。

東京ガスは、本開発を通じ、低コストで高性能な非イリジウム触媒を開発することで、安価な水素製造コストの早期達成を目指すとしており、水素の用途としては、直接の利活用や合成メタン(e-methane)の原料としての活用を想定しているという。

東京ガスは米国での脱炭素化の取り組みを進めており、2022年11月に、大阪ガス、東邦ガス、三菱商事と、米国テキサス州とルイジアナ州でのe-methaneの製造や、キャメロン液化天然ガス(LNG)基地、LNG船・受け入れ基地などの既存LNGサプライチェーンを活用したe-methaneの液化・輸送、ならびに、2030年の日本へのe-methane導入開始に向けた検討に着手したと発表した(2022年12月7日記事参照)。2023年1月には、二酸化炭素(CO2)の直接大気分離回収(DAC)の先進的技術を有する米国グローバルサーモスタットへの出資を発表している(2023年2月3日記事参照)。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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