反政府派、次期大統領選に向けた候補擁立急ぐ

(ベネズエラ)

ボゴタ発

2023年03月20日

2024年中に実施される予定のベネズエラ大統領選挙で反政府派の統一候補を擁立するため、野党各党では同派内の予備選挙に向けた候補者の選出を急いでいる。反政府派により2022年に設立された予備選挙委員会(CNP)が2月15日に発表した予備選挙スケジュールによると、2023年5月8日から候補者の予備登録が始まり、5月24日~6月23日に各党による正式な候補者指名が行われる。その後CNPは、選挙キャンペーンを経て10月22日に国民による投票が行われる。CNPは投票参加を促すため、全国約1万4,000カ所の投票所を利用可能とするための作業委員会を、国家選挙管理委員会(CNE)と創設したとしている。

既に、エンリケ・カプリレス氏(元ミランダ州知事/正義第一党)、フアン・グアイド氏(大衆意思党)、マリア・マチャド氏(ベンテ・ベネズエラ党)ら7人が予備選への参加を決めている。なお、暫定大統領として国際的な認知を受け2019年から反政府派国会議長を務めたフアン・グアイド氏は、2023年1月に発足した新国会では議長から外れている。同国会は、暫定大統領を置かず、ベネズエラ政府が海外に持つ凍結資産の保護・防衛に関する問題を中心的に取り扱うことになっている。グアイド氏は、米国財務省外国資産管理局(OFAC)による経済制裁において取引禁止の例外とされていたが、現在は、反政府派が主導する国会から指名された者に対して例外が適用されるよう新たにライセンスが発行され、経済制裁による凍結資産回復のカギは引き続き反政府派が握る。

長らく無力感にとらわれていた反政府派を支持する国民にとっては、予備選は再び結束が試される機会であり、民主的な大統領選に望みをつなぐものとなる。とはいえ、こうした反政府派の動きは何らかのかたちで、政権から阻止されるのではないかとの警戒感は相変わらず根強い。また、カプリレス氏やグアイド氏ら、各種の不正を行ったとして現政権から公職に就くことが禁じられた候補者もおり、予備選で選出されても大統領選への立候補資格がCNEから認められない可能性があるなど、多くの課題も伴っている。

(マガリ・ヨネクラ、豊田哲也)

(ベネズエラ)

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