米商務省、輸出管理対象に外国事業体を追加する根拠に人権保護を含むことを明確化へ

(米国)

ニューヨーク発

2023年03月29日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は3月28日、人権侵害を理由に11の外国事業体を輸出管理規則(EAR)上のエンティティー・リスト(EL)に追加するとともに、今後、事業体をELに追加する根拠に、世界における人権保護という外交政策上の利益が守られているか否かを含むことを明確化するよう、EARを改定すると公表した。正式には3月30日付の官報で公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますする。

ELとは、米国政府が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている、またはその恐れがある」と判断した団体や個人を掲載したリストで、それらに米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出・再輸出・みなし輸出などを行う場合には、BISの事前許可が必要となる。今回はいずれも人権侵害を理由に、ミャンマー、中国、ニカラグア、ロシアに拠点を置く11の外国事業体をELに追加し、全てのEAR対象製品について、許可申請をしても原則不許可の審査方針を取るとしている。

また、BISは今後、外国事業体をELに追加する根拠として、世界における人権保護が外国事業体をELに追加する際に検討すべき外国政策上の利益として守られているか否かを含むことをEARで明示した。しかし、米国政府は従来、人権侵害を理由に外国事業体をELに追加する措置を取ってきており、今回のEAR改定はその方針をあらためて明文化したにすぎない。よって、BISの執行方針が変わるようなことはないと考えられる。官報案でも、今回の改定は軽微なものであり、パブリックコメントを募集すべき規則制定には当たらないとして、最終規則(FR)のかたちを取っている。

(磯部真一)

(米国)

ビジネス短信 0e421bac11827eb4