鉄鋼サプライチェーン高度化のための「鉄鋼産業発展戦略」を発表

(韓国)

ソウル発

2023年02月22日

韓国産業通商資源部は216日、李昌洋(イ・チャンヤン)長官が主宰した「鉄鋼産業発展ラウンドテーブル会議」(注1)で、鉄鋼サプライチェーン(原料、生産プロセス、製品、輸出)の新たな発展の基盤整備のため、「鉄鋼産業発展戦略」を発表した。同戦略の概要は以下のとおり。

「原料」については、カーボンニュートラルの進展により、電炉による粗鋼生産の拡大を想定し、電炉の主原料である鉄スクラップを循環資源として指定することで廃棄物管理法上の廃棄物から除外し、円滑な再利用を可能とする(注2)。

「生産プロセス」については、製鉄プロセスの低炭素化のための技術革新を進める。具体的には、2050年までに高炉11基を水素流動還元炉14基に代替することを目標として、2025年までに関連する基礎技術(注3)の開発を完了、2030年までに100万トン規模の実証事業を行うための予算を確保する。

「製品」については、自動車、造船など需要の変化に積極的に対応するため、汎用(はんよう)品を中心とする製品から、需要に応じた高付加価値の鋼材を中心に転換する。具体的には、自動車鋼材の軽量化や多重素材化の適用トレンドに合わせ、異種素材の接合技術の開発やギガスチール(注4)などの鋼材の高強度化と軽量化などを推進する。

「輸出」については、EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)などの貿易障壁に対応するため、鉄鋼の品目ごとに輸出への影響を分析し、企業の輸出戦略策定を支援するとともに、韓国企業の負担軽減のため、EUとの協議を継続的に行う。米国に対しては、鉄鋼輸出の割り当て制の改善を促す一方、中東、インド、ASEANなどの新興市場に対しては、受注機会の発掘や自由貿易協定(FTA)交渉などを通じた支援活動を継続する。

(注1)ポスコ、現代製鉄、東国製鉄、セア製鉄、KGスチール、大韓製鋼、亜州スチールなどの鉄鋼各社が参加。

(注2)「資源循環基本法」を全面改正した「循環経済社会転換促進法」が20221228日に国会を通過。非有害、高経済性の物品などを循環資源として指定し、個別法で規定されている廃棄処理方法などの規制緩和措置などを講じる。

(注3)鉄鉱石を還元する際、石炭の代わりに水素を利用する技術。

(注4)引張強度1GPa以上の高強度の軽量素材で、1平方ミリ当たり100キログラム以上の過重に耐えることができる鉄鋼を指す。

(当間正明)

(韓国)

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