主要2州の知事選、中道右派勝利で政権に追い風

(イタリア)

ミラノ発

2023年02月27日

イタリアで2月12日から13日にかけて、ミラノを州都とするロンバルディア州と首都ローマがあるラツィオ州の州知事選挙が行われた。ロンバルディア州は中道右派の同盟(Lega)のアッティリオ・フォンタナ氏が、ラツィオ州ではイタリアの同胞(FDI)など中道右派連合が推薦するフランチェスコ・ロッカ氏が当選した。フォンタナ氏は2期目となる。中道右派のジョルジャ・メローニ政権初の州知事選で、いずれも中道右派が擁立する候補者が当選し、政権への追い風となった。

両氏の得票率はそれぞれ50%を超えた。ロンバルディア州のフォンタナ氏は54.7%と、次点のピエールフランチェスコ・マヨリーノ氏の33.9%に大きな差をつけた。なお、マヨリーノ氏は中道左派そして反既存政党を掲げる五つ星運動(M5S)が擁立した候補者。ラツィオ州のロッカ氏は53.9%で、次点の中道左派のアレッシオ・ダマート氏は33.5%だった。

メローニ首相は2月13日、自身のツイッターで両者に対して祝辞を述べるとともに「中道右派の結束を固め、政府をより後押しする結果となった」とコメントした。

2月15日付ANSA通信によると、Lega党首のマッテオ・サルビーニ・インフラ・交通相も、選挙での勝利は国民が現政府を支持していることを意味すると強調。一方で、フォンタナ氏は当選後のインタビューで「私はロンバルディア州の代表で、党の代表ではない」と州知事としての立ち位置を明確にした。イタリアの州知事の任期は5年。ロッカ氏は、ラジオ出演し「目標はラツィオ州を10年間統治すること」と早くも再選への意欲を見せた。ラツィオ州は2013年以降、民主党(PD)のニコラ・ジンガレッティ氏が知事を歴任していた。後継とされていたアレッシオ・ダマート氏に大差をつけての勝利は、中道右派の支持層の広がりを印象付けた。

投票率は急降下、政党・候補者に不信感も

今回の州知事選では、投票率の落ち込みが際立った。調査機関デモポリスによると、前回州知事選が行われた2018年の投票率は、ロンバルディア州は73%、ラツィオ州は67%だったが、今回、ロンバルディア州は42%、ラツィオ州は37%と急激に減少した。デモポリスの世論調査によると、棄権する理由として「政党や候補者に失望、または信頼できないから」が51%、「中道右派の勝利という選挙結果になることが明らかだったから」が40%、「州の政治が現実的な生活に影響しないから」が33%となった。また、投票の選択に主な影響を与えたものとしては「自分が所属する政党や政党連合」が75%を占め、候補者や政策という回答はわずかだった。

(平川容子)

(イタリア)

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