カナダ政府、領空侵犯した未確認飛行物体を米国と合同で撃墜

(カナダ、米国)

米州課

2023年02月14日

カナダのジャスティン・トルドー首相は2月12日の記者会見で、カナダ領空に不法侵入した未確認飛行物体を、11日に米国と合同で撃墜したと明らかにした。トルドー首相は、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が検知した領空侵犯をした飛行物体が、民間機に対する脅威を与えるものと判断したため撃墜を指示した。これを受け、カナダ軍および米軍の戦闘機がスクランブル発進し、最終的に米国のF-22戦闘機が撃墜したという。

カナダのアニタ・アナンド国防相も記者会見を行い外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、物体はユーコン準州(注)の上空、高度約4万フィート(約1万2,000メートル)で飛行していたところを、東部標準時の午後3時41分ごろに撃墜され、カナダ・米国国境から約100マイル(約160キロ)離れた場所に落下したとみられると発表した。形状については、米国ノースカロライナ州沖合で撃墜されたものよりも小型の円筒形の物体のようだと述べており、飛行物体の機能、飛行の目的や生産国といった詳細については、現時点では把握できていないという。

また、2月11日付で米国国防総省が発表した、NORADによる同日のオペレーションに関する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、バイデン大統領は、トルドー首相と電話で話し合った後、NORAD任務用の米国の戦闘機にカナダ軍と協力して撃墜することを許可したという。NORADが同物体を検出したのは10日深夜のアラスカ上空で、アラスカの基地を離陸した2基の米軍戦闘機F-22が空軍給油機の支援を受ながら、物体の特徴を捉えるべく、米国領空で物体の監視・追跡を続けた。物体がカナダ領空に入った時点でカナダ軍の戦闘機CF-18と監視機CP-140も編隊に加わり、飛行物体の追跡を続け、両国当局間の綿密な調整の後、最終的に米国のF-22戦闘機が短距離空対空ミサイル(AIM9X)を用いて物体を撃墜した。また、落下した物体の調査のための回収にあたっては、米国連邦捜査局(FBI)が王立カナダ騎馬警察と緊密に協力していくとしている。

(注)カナダ北部に位置する準州で、西側は米国のアラスカ州、東側はカナダのノースウェスト準州、南側はカナダのブリティッシュ・コロンビア州と隣接している。

(高山さわ)

(カナダ、米国)

ビジネス短信 c3617ac7f41798cd