ジェトロ、奄美黒糖焼酎産地から海外へライブ配信を実施

(鹿児島)

鹿児島発

2023年02月27日

ジェトロ(鹿児島)は28日、奄美黒糖焼酎の「バーチャル産地視察ツアー」を実施した。本ツアーは、奄美黒糖焼酎蔵元を代表して、奄美大島開運酒造の宇検村(うけんそん)工場から配信した。海外バイヤーや国内輸出商社、ホテル事業者、小売業者などを含めた米国、マレーシア、香港など計9カ国からの視聴があった。

写真 本格焼酎と料理のペアリングの紹介(右肩・泊浩伸常務取締役)(ジェトロ撮影)

本格焼酎と料理のペアリングの紹介(右肩・泊浩伸常務取締役)(ジェトロ撮影)

「本格焼酎」を知らない海外バイヤーにも興味を持ってもらうため、海外の焼酎専門家から見た黒糖焼酎の紹介動画や、「本格焼酎」とは何かを詳しく説明するスライドを事前に準備。当日は産地の特徴として、2021年にユネスコにより世界自然遺産に登録された奄美大島湯湾岳について触れ、原料となる湯湾岳からの伏流水を試飲、水や黒糖など原料へのこだわりを説明した。一般に、奄美黒糖焼酎は11~翌年4月頃に製造が行われ、2月に最盛期を迎えるが、その最中にある工場の現場から、杜氏(とうじ)の高妻淑三氏が仕込み・製造・貯蔵の様子を紹介した。隣接のショップからは商品ごとの飲み方や、食中酒として料理とのペアリングを提案するなど、その魅力について総合的にPRした。

写真 貯蔵庫内で、樽貯蔵について説明する杜氏の高妻淑三(こうづまよしみ)氏(左)(ジェトロ撮影)

貯蔵庫内で、樽貯蔵について説明する杜氏の高妻淑三(こうづまよしみ)氏(左)(ジェトロ撮影)

本ライブ配信を通して、奄美大島開運酒造の常務取締役の泊浩伸氏からは「日本固有の蒸留酒である本格焼酎の1つとして、奄美黒糖焼酎とは何かを詳細に伝えることができたと思う。奄美黒糖焼酎業界一丸となって、海外に向けて発信を重ねていき、認知度を向上していきたい」とコメントがあった。

参加者からは「酒蔵での造りの様子を見ながら説明を受けることで、商品について深く理解ができた」「工場の見学は非常に面白く、焼酎にクラシック音楽を聴かせることが印象に残った」との声が寄せられ、商談の申し込みにもつながった。

写真 質疑応答〔筆者(左)、杜氏の高妻氏(中央)、常務取締役の泊氏(右)〕(ジェトロ撮影)

質疑応答〔筆者(左)、杜氏の高妻氏(中央)、常務取締役の泊氏(右)〕(ジェトロ撮影)

「バーチャル産地視察ツアー」は、新型コロナウイルス感染拡大により渡航が制限される海外バイヤーに対して、オンラインで商品の生産・製造工程を見せ、生産者・メーカーの声を直接届けることで商品の付加価値を理解してもらい、日本産農林水産物・食品の輸出促進につなげることがねらい。ジェトロでは、本部(東京)にある農林水産・食品部と地方事務所が連携して実施し、2022年度末までに全国15カ所で実施する予定だが、鹿児島県内での実施は初めて。

国税庁の発表によれば、財務省貿易統計(2023年1月末の数値)に基づく2022年の世界への焼酎・泡盛全体の輸出総額外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、前年比24.4%増の21億7,000万円で過去最高となった。

(原田玉枝)

(鹿児島)

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