大規模火災発生地域に夜間外出禁止令を発令、政府は復興支援策も発表

(チリ)

サンティアゴ発

2023年02月13日

チリ政府は29日、大規模な火災が発生しているビオビオ州、ニュブレ州、アラウカニア州の28区に対し、各州に配備された軍司令官が夜間外出禁止令(Toque de Queda)を発令したと発表した。適用開始は10日午前0時からで、同地域の住民は午前0時から午前5時までの間、集会の実施や移動の自由が制限される。

ガブリエル・ボリッチ大統領は、上述の3州に対してすでに大災害事態宣言(Estado de Excepción Constitucional de Catástrofe)を発令しており(202327日記事参照)、軍の動員により災害地の秩序・治安の確保や、消火・救助活動が行われている。一方で、一部の地域で消火活動に対する妨害行為や、家屋での窃盗などの被害が報告されていることから、夜間外出禁止令の発令はそれらを統制する意味合いもあるとみられている。放火容疑などによる拘束者は30人に増加している。

210日の政府発表によると、チリ全土で321件の火災が発生しており、そのうち180件は既に制御下にあるものの、94件は消火活動の最中。火災に関連した負傷による医療機関の受診者は2,196人となり、10日時点での死者数は24人と発表された(2月6日時点での発表内容から下方修正された)。ほかにも、住宅の焼損が1,250軒となり、農業省の2月9日付の発表によると、被害範囲は約355,000ヘクタール。被害地域では、ワイン用のブドウ、サクランボなどの果物、麦、木材の生産者らが火災による影響を受けており、政府は被災企業に対しての税制優遇措置を含む復興支援策外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表している。

(岡戸美澪)

(チリ)

ビジネス短信 be97831775ed7469