ウズベキスタン経常収支、対ロシア金融制裁などで赤字が縮小

(ウズベキスタン)

タシケント発

2023年02月21日

ウズベキスタン中央銀行は2月6日、2022年のウズベキスタンの経常収支統計(速報値)を発表した。2022年の輸入額は前年比26.0%増となり、2019年以降の過去4年間で最高の伸び率となった(添付資料表参照)。輸出額(金を除く)は22.9%増だった。

2022年の経常収支の赤字額は5億1,100万ドルで、輸出よりも輸入の伸び率が高いにもかかわらず、過去最高水準だった2021年の48億ドルから9分の1近くに縮小した。2022年の第1次所得収支(64.6%増の3億2,100万ドル、注1)、第2次所得収支(2.3倍の149億ドル、注2)の黒字額合計が過去最高の152億ドルとなり、貿易・サービス収支の赤字157億ドルをほぼ相殺した。第1次・第2次所得収支の大幅黒字の主な理由として、海外への短期労働者渡航数の増加し、仕送り額も増えたこと、対ロシア金融制裁の影響でロシアからの送金が現金などから送金システムに移行したことで統計上に数字が表れるようになったこと、ロシアの小規模輸入業者が契約に基づく通常の銀行送金ではなく、個人間の送金システムを通じてウズベキスタンの輸出業者へ送金したことが挙げられる。

ウズベキスタン周辺国出身の移民労働者がドル現金の引き出しの制限が比較的緩いウズベキスタンへ送金し、同国でドル現金を受け取り自国に持ち帰る、もしくは第三国に持ち出すといったケースも報じられている(「ガゼータ・ウズ」2022年7月21日)。2022年のロシアからの入国者は前年比3倍(2021年19万500人、2022年56万7,700人)、タジキスタンからは5倍(2021年28万8,200人、2022年144万7,800人)、キルギスからは2倍(2021年65万2,200人、2022年135万6,900人)を記録した。

これにも関連して、ウズベキスタンのインバウンド短期観光客数と国際旅客サービス分野は高い成長を示し、2022年のサービス輸出は前年比46.2%増の33億ドルに達した。

(注1)収入として、国外で短期移民労働者として働くウズベキスタン人からの送金、居住者の海外投資収益など、支出として、借入金・ローンの海外への返済、海外直接投資などがある。

(注2)主な収入は、海外に長期居住しているウズベキスタン人の移民労働者からの送金。

(ウラジミル・スタノフォフ)

(ウズベキスタン)

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